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順天堂大、花粉症などのアレルギー性鼻炎を抑制できる生体成分を発見

マイナビニュース / 2024年4月26日 13時4分

画像提供:マイナビニュース

順天堂大学は4月25日、マウスを用いた動物実験で、生体内に存在する脂質「セラミド」の安定した「リポソーム」(細胞膜の脂質二重膜を模した、リン脂質からなる微小カプセル)の点鼻を行った結果、鼻の「マスト細胞(別名:肥満細胞)」の受容体「CD300f」に作用し、くしゃみなどを引き起こす炎症惹起分子「ヒスタミン」などを含む顆粒を放出する「脱顆粒」を抑制、花粉症などのアレルギー性鼻炎を抑えられることが確認されたと発表した。

同成果は、順天堂大大学院 医学研究科 アトピー疾患研究センターの伊沢久未 特任准教授、同・北浦次郎教授、同・大学 医学部 耳鼻咽喉科学講座の井出拓磨助手、同・大学大学院 医学研究科 耳鼻咽喉科学の池田勝久特任教授/名誉教授、同・松本文彦教授、名古屋大学の後藤元信名誉教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、英オンライン総合学術誌「Scientific Reports」に掲載された。

花粉などの抗原(アレルギーの原因物質)に暴露されると体内で作られるのが、それぞれの抗原に特異的に結合する「IgE抗体」。皮膚や粘膜のすぐ下にいるマスト細胞は、同抗体が結合する高親和性IgE受容体を持ち、抗体が結合することで、ターゲットの抗原を捉えられるようになる。そして抗原を実際に捉えると、同細胞は刺激を受けて活性化し、脱顆粒するなど、さまざまな化学伝達物質を放出し、アレルギー反応を惹起するのである。

研究チームはこれまでに、セラミドがマスト細胞の受容体CD300fに結合すると、脱顆粒が抑制されることを確認していた。そこで今回の研究では、セラミドリポソームの点鼻がアレルギー性鼻炎に有効か否かを確かめることを目的に、マウスモデルを用いた実験を行うことにしたという。

まず、アレルギー性鼻炎におけるCD300fの役割を調べるため、野生型マウスと、CD300f欠損マウスにブタクサ花粉を投与して同花粉の特異的IgE抗体を産生させた後、同花粉を連日鼻腔投与することでアレルギー性鼻炎が誘導された。すると、CD300f欠損マウスは、野生型マウスよりもアレルギー性鼻炎症状であるくしゃみの頻度が多いことが観察された。

次に、両マウスの鼻組織が調べられたが、マスト細胞の数に差はなかったとする。しかし、CD300f欠損マウスでは脱顆粒している同細胞や、炎症を悪化させる好酸球が多く認められたという。その一方で、ブタクサ花粉に対する特異的IgE抗体値は両者で同等だった。つまり、CD300fは花粉特異的IgE抗体の産生に影響しないが、局所のマスト細胞の脱顆粒を抑制することがわかったのである。マスト細胞に発現するCD300fだけを欠損するマウスを解析しても同様の結果が得られたことから、マスト細胞のCD300fは花粉抗原と特異的IgE抗体の刺激による脱顆粒を抑制して、好酸球浸潤を伴うアレルギー性鼻炎を抑えることが考えられるとした。

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