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NICTなどがISS・地上間での秘密鍵共有と高秘匿通信に成功、実用化へ前進

マイナビニュース / 2024年4月19日 15時21分

実験では、SeCRETSから10GHzクロックで乱数データ(鍵データ)を変調した信号光が地上に向けて発射され、東京都小金井市のNICT本部に設置された可搬型(車載)光地上局の直径35cm反射型望遠鏡で信号光を受信することに成功したとする。

そして、信号の盗聴者への情報漏えい量を無限小とするため、この受信した乱数データをISSと地上局の間で「鍵蒸留処理」をすることで、1回の上空通過で100万ビット以上の安全な暗号鍵の生成に成功したという。なお鍵蒸留処理とは、送信側と受信側で共有した鍵データの誤りを訂正する機能、および盗聴者に漏れた情報量を除去する秘匿性増強処理を合わせたプロセスのことである。

さらに、この蒸留処理した暗号鍵を用いて、軌道上にある画像データをOTP暗号化してISSからの電波による通信を通じて地上に送信し、復号することでこの画像データを取得することにも成功したとする。

今回開発されたSeCRETSは、そのほとんどの部分が民生部品で構成されているが、過酷な低軌道での利用を想定した耐真空環境、耐放射線被曝に関する試験も実施済みで、問題なく動作することも確認されている。また、光学系望遠鏡をトラックに搭載することで可搬型の光地上局が構成され、なおかつ、高速変調した信号の受信のための極めて微細な調整が可能な追尾システムも導入済みだという。

これらの開発により、衛星搭載用暗号装置の低コスト化や、開発期間短縮の可能性が高められ、可用性の高い可搬型光地上局を用いた高速光通信を実証することができ、衛星量子暗号通信の社会実装に向けて大きな一歩を踏み出したとした。

今回行われた実証研究では、光送信を行う範囲をセキュリティの確保された受信局周辺の区域に限る方式(物理レイヤ暗号)を用いて行われた。今後は、ここで得られた結果の検証を進めることで、暗号装置に組み込む機器などの開発をさらに進め、衛星搭載用の量子鍵配送装置の製作を加速させるとする。

また、量子鍵配送実証に好適な電力系や姿勢制御系を備えた衛星バスシステムの開発を視野に入れた研究・開発を加速させ、実用化への足掛かりとするとしている。さらに、ISS-可搬型光地上局での実験デモをさらに進め、日本独自の衛星量子暗号を実現するための基本データ収集を実施する予定とした。
(波留久泉)



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