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国際宇宙ステーションと地上間での秘密鍵共有と高秘匿通信に成功

共同通信PRワイヤー / 2024年4月18日 14時0分

写真

図4 今回開発したSeCRETS(写真中央)と同装置を船外実験プラットフォームに取り付けた古川宇宙飛行士

衛星量子暗号通信の実用化に期待


2024年4月18日

国立研究開発法人情報通信研究機構

国立大学法人東京大学大学院工学系研究科

株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所

次世代宇宙システム技術研究組合

スカパーJSAT株式会社


ポイント

■ 国際宇宙ステーションから可搬型光地上局への光通信で安全な鍵を共有、高秘匿通信可能なシステムを開発

■ 1回の上空通過で100万ビット以上の安全な秘匿鍵共有が可能

■ 国家安全保障や外交などの高秘匿通信で用いることができる衛星量子暗号通信システムの社会実装に期待


 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT(エヌアイシーティー)、理事長: 徳田 英幸)、国立大学法人東京大学大学院工学系研究科(研究科長: 加藤 泰浩)、株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所(代表取締役社長: 北野 宏明)、次世代宇宙システム技術研究組合(理事長: 山口 耕司)及びスカパーJSAT株式会社(代表取締役 執行役員社長: 米倉 英一)は、低軌道上の国際宇宙ステーション(ISS)から地上の可搬型光地上局への光通信により、1回の上空通過で100万ビット以上の秘密鍵を共有し、ISSと地上局とでの情報理論的に安全な通信の実証に成功しました。

 本通信実証の成功により、低軌道衛星からの光通信による高速かつ高い安全性を持つ暗号鍵を任意の地上局と共有する技術的な見通しが立ちました。

 本技術が実用化されれば、原理的に地球上のどこでも安全な暗号鍵の共有ができ、通信で漏えいを防ぐことができるため、国家安全保障や外交の分野において不可欠な重要情報の高秘匿通信が可能になります。今後、本技術の開発を更に進め、機密情報を扱うユーザ向けの衛星量子暗号システムの社会実装を目指します。


背景

 近年、量子コンピュータ研究が急速に進展し、この実現により従来の暗号技術で守られていたデータが全て解読されてしまう事態が懸念されます。また、今は解読できない暗号データでも、一旦保存しておいて将来高度なコンピュータで全データを解読するタイプの攻撃がされるおそれは現に高まっています。個人・国家レベルの重要な機密情報を将来にわたって安全にやり取りするためには、いかなる計算機によっても解読が不可能な、情報理論的安全性を有する暗号技術の導入が喫緊の課題となっています。

 この課題に応えるべく、NICTでは、情報理論的に安全な鍵共有・秘匿通信を可能とする技術として量子鍵配送・量子暗号通信の開発を進めてきました。現在、地上光ファイバー網における量子暗号通信の更なる高速化・長距離化に資する研究開発(量子鍵配送ネットワークとして100 km圏内を対象とした地上2地点間の量子鍵配送装置や、トラステッドノードをベースとした量子鍵配送ネットワークの研究開発など)に取り組んでいますが、量子鍵配送をグローバル規模に拡大するには、数千kmにわたる量子暗号通信を行う必要があり、地上光ファイバー網では通信路の途中で中継する量子中継技術の発展を待たねばならない状況です。

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