ワープスペース、JAXAと月・地球間の長距離光通信に向けた長距離光通信高感度センサーの共同開発を完了
PR TIMES / 2024年4月24日 11時15分
衛星間光通信サービス実現を目指す株式会社ワープスペース(茨城県つくば市、代表取締役CEO:東 宏充)は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)より受託した光センサーの開発を完了いたしました。
[画像: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/35564/36/35564-36-996cfe470dea271f391ddbbe4b5dc3a9-1640x924.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
本業務を通じて捕捉追尾光センサーの高感度化に成功し、この成果により捕捉追尾精度の向上が期待されます。この捕捉追尾精度の向上は、40万kmの通信を成立させる上で必要不可欠な技術であることから、月地球間の光通信実現に向けて最初に達成すべき最も重要なマイルストーンの一つといえます。
光通信では、まず接続を行う前段として双方の衛星を光学スキャンによって捕捉する必要があります。しかし、40万km隔たった月と地球間では光も大きく減衰するため、微弱な光信号を検知できる超高感度センサーが必要となります。
このセンサー(四分割InGaAsアバランシェフォトダイオード)は既に試作機の開発を終えており、従来の光検出器と同等以上の検出性能を確認し、また、冷却における大幅な暗電流低下が示唆される結果が得られました。更に、実際のミッションにおける使用を想定した改善を目的に、本開発ではノイズのさらなる低減に焦点を当てました。センサーは光子を感知した際に電気信号を流すことではじめて光を検知します。
しかし、微弱な光信号を検出の対象としているこのセンサーでは、他の要因で雑音となる信号(ノイズ)が発生すると、検出すべき信号との区別がつきづらく、センサーの精度が落ちてしまいます。このノイズは、熱がある状態において素子に電圧を加えたときに、熱的原因、絶縁不良、結晶欠陥などによって光を当てなくても流れる電気の流れ(暗電流)によって引き起こされます。
これに対処するため、二つのアプローチからノイズの低減を図りました。ひとつは受光素子を-20°Cまで冷却すること、もうひとつは受光面のサイズを縮小することです。これらの措置により、従来のセンサーと比べて暗電流を約97%低減することに成功し、月地球間光通信の捕捉追尾に必要とされる受信電力を約90%低減できることを確認いたしました。※1
さらに、月ー地球間光通信の捕捉追尾に要求される1万分の1度台の精度を、本センサーで達成できることをシミュレーションにより確認いたしました。
この感度の向上は、宇宙における信頼性の高い光通信の確立において極めて重要です。特に、月探査プロジェクトにおいては40万kmという超長距離の中で確実な通信を成立させる必要があります。これは例えば、東京駅から富士山頂上(直線距離約100km)のバスケットボールにレーザーポインタを当て続ける精度と同等となります。今回開発に成功したセンサーはその信号の捕捉と追尾にあたって、非常に重要な役割を果たします。
本件は2023年11月に受託し、開発目標を達成いたしました。ワープスペースは、JAXAとともにこの最先端技術の開発をリードし、世界で加速している月や深惑星探査において必要不可欠であり、「ナンバーワンかつオンリーワン」となる技術を追及し、ミッションに貢献してまいります。
※1 自社のこれまでの取り組みと比較
株式会社ワープスペースについて
ワープスペースは、民間として世界で初となる、人工衛星向けの光即応通信ネットワークサービス「WarpHub InterSat(ワープハブ・インターサット)」の開発を進めています。光通信が可能な中継衛星3基が、他の衛星から送られてきたデータを地上局に即応的かつ高容量で転送する仕組みです。同サービスは2025年までに実現させることを目指しています。近年、地球観測などを行う人工衛星の数が爆発的に増えています。「WarpHub InterSat」を利用してもらうことにより、より多くの地球観測データ等をリアルタイムに近い形で取得、利用できるようになり、災害対応の高速化や資源管理の効率化など、持続可能な地球経済の実現に貢献します。
公式サイト:https://warpspace.jp/
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ご連絡先
・本リリースに関するお問い合わせ
國井 仁(事業開発)
hitoshi.kunii@warpspace.jp
・投資・出資に関するお問い合わせ
北原 明子(最高財務責任者)
akiko.kitahara@warpspace.jp
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