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国立天文台、野辺山45m電波望遠鏡で原始星の「ストリーマー」を詳細に確認

マイナビニュース / 2024年4月19日 15時25分

次に、観測で得られた分子種のうち、CCSとHC3Nの存在量比と、化学反応ネットワークシミュレーションの結果が比較された。すると、リザーバーとストリーマーが化学的に非常に若い組成を持ち、どちらも同程度の化学的年齢であることがわかったという。このことは、今回同定されたコアがストリーマーの材料となっていることの証拠とした。

続いて、観測とシミュレーションの結果を用いることで、リザーバーとストリーマーの正確な質量が計算された。すると、それぞれ太陽質量(約1.989×1030kg)の約16倍と約13倍と計算された。つまり、ストリーマーとして流れ込むことができるガスの質量は最大で太陽質量の約29倍となる。さらに、ストリーマーによる質量降着率は、1年あたり太陽質量の約9×10-5倍と導出された。

流れ込むガスの速度と全体のガスの量がわかると、ストリーマーの寿命が計算可能となる。仮に、リザーバーにあるガスがすべてPer-emb-2に流れ込むと仮定すると、20万年はストリーマーによるガスの流入が続くと見積もられ、これはクラスI原始星段階が終わるころに対応する。この結果は、濃いガスの中で星が成長する長い時間も、"化学的にフレッシュなガス"が外部から流れ込み続け、絶えず化学的特徴を変え続けることができることを意味しているという。つまり、どの星もストリーマーが存在するのであれば、惑星系の化学的環境は、星の誕生が始まる最初の段階で決まっているのではなく、星の成長が止まるギリギリまで変わり続けることを意味するとした。太陽系にもストリーマーがあったのだとしたら、地球に生命が誕生したのは初期段階から決まっていたのでは無く、最終的にたまたま運よく環境が整っただけの可能性もあるとしている。

研究チームは今後、アルマ望遠鏡を用いて、ガスが流れ込んでいる場所で化学組成が変えられている現場を捉えたいと考えているとした。
(波留久泉)



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