どれだけ知ってる? 教習所で教わらないバイクTips 第41回 なぜバイクの「ターボ」は普及しなかったのか? 復活の可能性は……?
マイナビニュース / 2024年4月27日 8時0分
しかし、レースと違って乗用車の自動車税は車格と排気量で区分されていたため、ターボを搭載すれば税金が高い大排気量車のパワーを得られます。当然、同じ排気量のNAよりは燃費は悪くなりますが、若いドライバーを中心に大流行し、各メーカーから次々にターボ車が登場して百花繚乱の時代を迎えます。ただ、メーカーやモデルによってターボの味付けが異なり、比較的おとなしいものから、パワーの変動が大きないわゆる「ドッカンターボ」までありました。
その後、自動車税の改正やバブル崩壊などでスポーティなターボ車は姿を消しましたが、もともとターボと相性のよいディーゼルや排気量の小さな軽自動車では開発が続けられ、ターボラグや燃費の改善も進みました。そして現在は環境保護や省燃費の対策としてエンジンの小排気量化が進み、排気量が少なくなった分のパワーを補う「ダウンサイジングターボ」というコンセプトが主流になっています。
ダウンサイジングターボの流行はヨーロッパから始まったものですが、1980年代の日本国内でターボが流行したのも、根本は同じ“小排気量で大パワー”というテーマがあったからです。当時の国産ターボ車の性能は非常に高く、レースでもF1やラリーで華々しい戦績を残しましたが、それではなぜ、もう一つの“日本のお家芸”とも言えるバイクではターボが普及しなかったのでしょうか。
■国内4メーカーがターボバイクを販売していた
実は1980年代には国内4メーカーからターボを搭載したバイクが市販されています。いずれも輸出車ですが、ホンダの「CX500/650ターボ」(1981)を皮切りに、ヤマハ「XJ650ターボ」(1982)、スズキ「NX85ターボ」(1982)、少し遅れてカワサキも「750ターボ」(1984)をリリースしました。
この時代、日本製のオートバイは国際レースでイタリアやドイツといった老舗のヨーロッパメーカーを駆逐していました。その勢いもあり、国内4メーカーは積極的に最新技術を投入していたのですが、当時の技術ではバイクのターボ化はクルマよりも課題が多かったようです。
一つは当時のターボが最大の課題としていた「ターボラグ」で、車体を傾けて繊細なスロットルワークを必要とするバイクの場合、最適なタイミングでトラクションがかけられなかったり、スリップを誘発するといった扱いにくさがネックとなりました。
また、バイクの車体はスペースが限られているため、タービンや配管、インタークーラーなどの機器類を最適な位置に搭載するのが難しく、これらが発する高熱も車体やライダーに悪影響を及ぼします。
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