通信のIIJが千葉県白井市に農場を持つ理由とは - スマート農業実証実験の説明会を開催
マイナビニュース / 2024年6月12日 22時49分
インターネットイニシアティブ(IIJ)といえば、電話会社に起源をもたない国内電気通信事業者の雄。そのIIJが、2024年4月から、千葉県白井市に68.5アールの圃場を借りて稲作を行っています。文字通り畑違いにも思えるIIJの稲作は、同社の技術によりスマート農業を推進し、現代の農業が抱えるさまざまな課題の解決を目的として行われています。
5月30日に、IIJおよび連携会社から笠井喜久雄市長をはじめとする白井市関係者にこの取り組みについて説明する会が開催されました。説明会では実際の圃場も見学することができたので、その模様をご紹介します。
○IIJがデータセンターを置く白井市にはスマート農業の実証実験圃場もあった
千葉県白井市は、千葉ニュータウンの東側に位置し、東京のベッドタウンという性格をもちつつ、市面積の23%を畑が占めるなど農業も盛んな土地。中でも梨の栽培は「しろいの梨」としてブランド化もされています。
しかし会の冒頭にマイクをとった同市の笠井市長は、「近年、後継者不足が顕著で、不耕作地が増えている傾向にあります」と言います。農業従事者の高齢化や担い手不足は国全体で課題になっていますが、白井市もそれは同様というわけです。
IIJの今回の取り組みは、そういった課題をスマート農業によって解決しようという試みのひとつとなります。笠井市長は「こういった試みがここ白井市で行われることをうれしく思っています。これを契機に日本の農業が盛んになることを願っております」と、スマート農業への期待を語っていました。
IIJから説明にあたったのは、同社IoTビジネス事業部 アグリ事業推進部 副部長の花屋誠氏。同氏は元々ネットワークエンジニアとして活躍していましたが、2018年から同社のスマート農業チームに加わり、「IIJ社員の中でいちばん田んぼの中に入った回数がいちばん多い」と自負しているという人物です。
いまさら言うまでもなく、IIJは通信の会社です。したがってその農業への取り組みも、「通信によって何ができるのか」という視点からのものとなります。花屋氏はその具体的なポイントとして、「多地点計測」「多用途活用」「データの利活用」の3点を挙げます。
ポイントのひとつ目に挙げられた「多地点計測」というのは、多数のセンサーを設置してその情報をネットワーク上に送信し、監視・管理を行うということ。従来は、設置するセンサーひとつひとつにSIMを装着してクラウドにデータを送る“直接通信型”をとっていたため、センサーが増えるのに比例して通信コストが増大してしまっていました。
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