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大河原克行のNewsInsight 第296回 パナソニック「くらし事業」が直面した課題、家電市況の逆風に次の一手は?

マイナビニュース / 2024年6月13日 16時7分

海外白物では、中国および韓国メーカーとの競争が激化すると予測。パナソニックが中国で培った力を強みに、日中亜の連携により、重点地域の成長戦略を加速する。具体的には、中国において、高付加価値と世代特化型の2軸商品戦略を推進するとともに、グローバル標準コストの徹底追求を進める。また、アジアでは、中国で磨いたコスト力や商品力を活かした共同モデルを開発し、標準部材の採用による価格競争力の強化を図る。

そして、「事業構造変革を進める事業」としては、A2Aをあげ、想定した成長や収益性が実現できていないと反省。とくに、収益性が低いルームエアコンや業務用空調の収益改善を図るとともに、空調空質融合による差別化を図り、成長につなげるという。

「ルームエアコンおよび大型空調は、オペレーション力が劣後している。だが、空質と空調を組み合わせた独自性がある空質空調融合商品やエンジニアリングは伸びている」と述べた。

ルームエアコンは、海外生産であるため、国内顧客へのリードタイムが長く、大きな経営ロスが発生。それが収益低迷の原因になっているという。

「エアコンはトップエンドの一部商品は滋賀県草津で生産しているが、ボリュームゾーンは中国で生産している。円安の為替影響を受けるとともに、4カ月程度のリードタイムがかかっている。もともと天候に左右されやすい事業であり、機会ロスや過剰在庫の処分コストが負担になっていた。さらに銅や樹脂などの原材料価格の高騰を大きく受ける事業であることも苦戦する要因となった。さらに、エアコンは一家に複数台が導入されており、まとめ買いの提案に新販売スキームが適合できていないという課題もあった」とした。

一方、業務用空調では、販売規模が小さく、先行投資をカバーできずに開発効率が悪化しているが、空質空調の融合では、強みを持つ空質技術をフックに、空調と融合させた新価値創出への取り組みを開始しており、この分野での2023年度の売上高は前年比1.4倍の約100億円になったという。また、中国では、高気密高断熱住宅であるパッシブハウス向け空質空調設備が拡大して、前年比5倍強の成長を達成。日本においては、住宅向け全館空調熱交換気システムが拡大しているという。

A2Aの今後の事業構造変革においては、ルームエアコンおよび業務用空調の収益を改善することを優先。付加価値の高い空質空調融合を着実に成長させる考えだ。

「ルームエアコンは、国内事業の再建を最優先する」とし、ボリュームゾーンとなる中級モデルの国内生産回帰への投資を進め、2025年モデルからは国内生産を開始し、リードタイムを3分の1にまで圧縮するほか、ECM改革とSCM改革によって、経営ロスの削減を進め、EBITDA率で1.3%の改善を目指す」という。また、設備ルートの拡大により、販売コストの効率化を進め、EBITDA率を2.0%改善。合計で3ポイント超の収益改善を計画している。

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