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大河原克行のNewsInsight 第296回 パナソニック「くらし事業」が直面した課題、家電市況の逆風に次の一手は?

マイナビニュース / 2024年6月13日 16時7分

業務用空調は、「より環境対応した冷媒への移行時期にあり、開発コストが重くなっている」としながらも、パッケージエアコンの販売体制強化やルームエアコンとの共用設計による合理化を推進。他社との協業を含めた収益改善策を実行する。

「VRF(ビルマルチ空調)は、多様な販売ルートがあるが、ダイキンのようなスケールがない。空質と組み合わせたり、省エネ性能を高めたりといった点でオリジナリティを持つことが大切であると考えているが、すべてのラインアップを自前でやるのは難しいとも考えている。開発効率をあげ、収益性を高めながら、得意技を生かしていくことになる」と述べた。

空質空調融合では、中国のパッシブハウスや、日本のZEH化住宅の需要拡大にあわせて事業を拡大。2030年度までの年平均売上成長率で30%以上の成長を見込む。加えて、ライトコマーシャル向けにIoTサービスを立ち上げ、AIの活用による省エネサービス事業を拡大する。

なお、これまでパナソニックでは、7つの重点事業を「成長リーダー」、「安定収益」、「リーダー候補」の3つのセグメントに分類していたが、これを再編。2024年度からは、「成長領域」としてA2W、海外電材、CRの3事業、「安定収益」として国内電材、国内白物の2事業としたほか、海外白物、エネルギーソリューションを「リーダー候補」、A2Aを「事業構造変革」に位置づけた。

「成長領域を除き、資本コスト以下の事業については、早期の収益改善を進め、できない場合は方向づけをする」との姿勢も示した。
次期中期計画への危機感、収益性と競争力、生産性の向上

一方、2025年度からスタートする次期中期計画の収益目標の考え方についても言及した。

品田CEOは、「現状の低収益のままでは、中長期的な投資の原資を生み出すことができないという強い課題認識がある」とし、次期中期では「収益改善施策」と「事業成長・競争力強化」に取り組む。経営指標としては、EBITDAで10%、ROICでは10%以上を目指す。

「収益改善施策」では、間接部門の生産性向上や本部先行投資の効率化、事業構造変革および資本コスト以下の事業の収益改善を掲げ、次期中計期間中に500億円以上の収益改善を目指す。また、「事業成長と競争力強化」では、競争力強化ができた事業のさらなる高成長と収益拡大、競争力強化途上の事業の確実な収益改善を目指す。また、複数商材の組み合わせによって、ビル全体やコンビニストア全体への提案といったように、事業会社を超えた連携を進めて、シナジーを最大化。BtoB領域におけるトータル提案の強化も重要なテーマに掲げる考えを示した。

「次期中期計画においては、強い事業の集合体の構築を実現した上で、2030年に、定めた領域でNo.1、No2ポジションを獲得し、強い事業と強い事業の掛け合わせによる真の企業価値向上により、長期的視点で変革を積み重ね、持続的成長の実現を目指す」との方針を示した。

現在、A2Aをはじめとして、約3分の1程度が、No.1あるいはNo2ポジションを獲得できていなかったり、資本コスト以下の事業であったりするという。売上げ規模では合計で約1兆円となり、次期中期計画では、これらの事業の方向づけを行うことになる。

また、品田CEOは、「日本の家電業界全体が縮小するなか、生産性が高い産業にすることがパナソニックの役割だと考えている。そのリーダーシップを取ることが、業界全体の安定化に寄与すると固く信じている」とも語った。
(大河原克行)



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