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「SVGMap」とは? ハイパーレイヤリングを使った災害情報表示システム

マイナビニュース / 2024年6月21日 20時13分

しかし、2011年頃には、これらを1つの地図上で見ることはできませんでした。その問題点を表したのが、図1の左上に示す社会課題です。これはWebサイトのサイロ化の問題といえます。WebサイトやWebページは、それぞれ発信者が主催するページがあります。具体的には、気象庁、国交省などが、地震、気象、河川の状態など、さらに弊社のイントラネットサイトではネットワーク運用状態などを提供しています。ブラウザ上では、それらを1つ1つ別ウィンドウとして立て、マルチウィンドウで見ることはできます。しかし、マルチウィンドウは限界があります。せいぜい2つくらいが限度で、5つも立てたら画面から溢れてしまい使い物になりません。

一方、地図の特徴として、1枚の背景地図の上に、雨の情報、ネットワークの情報、さらに監視カメラの情報など、必要なものを選んで重ねて表示できるという特性があります。レイヤリングと呼ばれる地図ならではの表現方法で、情報の一元的な可視化に大変有効です。

Web上で地図を重ねることは、同一サイト内の同じ運営者のコンテンツならば従来から可能でした。しかし、サイト超えて異なる運営者のコンテンツを1枚の地図に重ねることはできませんでした。地図の特徴的な表現方法が、Webの上ではあまりうまく発揮できなかったことが、大震災を経験した2011年頃にわかってきました。これが、我々の動機付けになりました。

地図上にいろいろな防災情報を表示するには

図1の右上に示す従来の解決手段、マッシュアップサーバ方式と書かれた技術は、東日本大震災より前の2004年頃から大手プラットフォーマにより、Web 2.0・マッシュアップ・クラウドコンピューティングというキーワードとともに普及しました。そのなかでも地図サービスは非常に着目されました。いろいろな事業者や情報提供者がもつ情報を、その頃使われるようになったクラウドサーバ上に集め、それらの情報をプラットフォーマが1つのコンテンツにして、エンドユーザに提供していました。今も続いているプラットフォーマによるコンテンツ配信の方法です。

一方、SVGMapのハイパーレイヤリングは、それよりずっと前、1990年代後半から研究されていました。しかし、マッシュアップサーバ方式があるならば、最初の課題は解決されたと考えられ、弊社でもSVGMapの研究開発プロジェクトは一度クローズしました。その後20年間、細々とやってきておりました。基盤技術・フレームワークはごく少人数でメンテナンスされ、イントラネットのエンタープライズ用途で使われてきました。

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