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「SVGMap」とは? ハイパーレイヤリングを使った災害情報表示システム

マイナビニュース / 2024年6月21日 20時13分

このマッシュアップサーバの事業者が1社だけならば、すべての情報が集約されるので、原理的にはよいのかもしれません。しかし、資本主義では競合があり、寡占となります。すると、その数社の間で新しいサイロが発生してしまいます。最初にあげたサイロ化の問題が再び起こり、プラットフォーマがいくら努力しても解消するのは難しいことがわかってきました。

また、プラットフォーマはマネタイズしてビジネスにしないといけません。しかし、防災情報はその特徴である公共性からもわかる通り、公共団体が必ず関与します。公共団体にとっては、マネタイズと中立性・公共性という相反する問題があります。さらにエンドユーザから見れば、無料で見られるのが当然です。しかし、マネタイズで広告モデルが載っているとか、災害時に広告が表示されるのは考えにくい状況です。防災や災害対策では、マネタイズのビジネスモデルをたてることも課題になります。

このように、新たなサイロ化やサステナビリティの課題が、従来の方式の大きな問題点として表面化し、社会課題となってきたといえます。

ハイパーレイヤリングの復活

現在、サイロ化は防災だけではなく、いろいろなところに広がっています。SVGMapで実装されているハイパーレイヤリング技術は、Web2.0が出てきた2004年よりもずっと前、1996年くらいに私がKDD(現KDDI)の研究所で思い付いたアイディアです。ただ、私のオリジナリティが各段に高いものではなく、World Wide Webでは、昔からあった考え方の延長にある正常進化型のアーキテクチャです。

1990年、ティムバーナーズリーが最初にWorld Wide Webを実装・公開したときに、ただのドキュメント表示ソフトとWebブラウザの最も大きな違いが、ハイパーテキストの存在でした。画面上の文字をクリックすると、文字に付属するURLのリンク先に飛んでいくわけです。たったそれだけの機能ですが、自分のサイトやコンテンツ内だけで飛んでいくそのまた昔からあったものとは違います。ハイパーテキストのコンセプト自体は1960年代にテッドネルソンが提唱したものです。一方、World Wide Webのハイパーテキストは、インターネット上のまったく別のサイトで公開されたコンテンツに、クリックするだけでURLをたどって飛んでいく点が革新的でした。ハイパーテキストによって、世界中のインターネット上のコンテンツがつながり、1つの情報システムのように使えるのです。これは素晴らしい技術だと思いました。

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