能登被災者が迷い猫の捜索活動、誹謗中傷にも心折れず…取材Dが驚いた素人からの急成長
マイナビニュース / 2024年7月13日 18時0分
それが実現できたのは、SNSの発達も大きい。「滉平さんのインスタのフォロワーは、ものすごい勢いで1万人を超えていき、彼の発信を受けて、助けてあげようという人がどんどん集まってきて、たくさんの救援物資が届いて、テレビの取材を受けたり、有名人から応援のメッセージが寄せられたりということがありました。それと、彼自身が輪島塗の職人というアーティストなので、SNSの発信の仕方がうまいんですよ。猫の写真の撮り方や文章の構築もセンスがあるので、“この人を助けてあげよう”という気持ちにさせる発信力があると思いました」と捉えた。
SNSの力で捜索活動が急速に充実化した一方、知名度が広がり注目されることで、誹謗中傷も拡大。まさにSNSの光と影を象徴する事象だが、見ず知らずの相手から多くの激しいバッシングを受けても、折れることなく活動を続けてきた滉平さんの原動力は何か。
「彼はわりとメンタルが強くて、大変な目にあっても妻の萌寧さんが“頑張ろうよ”と言って支えてくれているのですが、被災して本業の仕事が一切できなくなって、捜索活動に集中できたという事情もあったと思います。彼の場合、家も工房も焼けてしまい、仕事が当分できない状態だっただけに、猫捜しが心の支えになっていたのではないかと。そんな中で仲間が集まってきて、猫は時間が経てば経つほどご飯を探して遠くに行ってしまい、捕まる可能性が下がってしまうし、がれきを撤去する時にもしかしたらそこに隠れていて巻き込まれるかもしれないので、みんなとにかく早く自分の猫に会いたい。そこで、“みんなのために猫を捜そう”という強い気持ちも支えになっていたと思います」
このリーダーシップは、職人とのつながりでも発揮。福井県鯖江市の職人仲間が輪島塗に欠かせない道具を集めて無償譲渡してくれたが、それを輪島の職人たちに配る活動も行っており、「“この人に頼もう”と思わせる素質のある人だと思いました」と受け止める。
また、捜索活動を進めるにつれて、どんどん動物愛護の“覚悟”が育っていくのを感じたといい、「批判を受けることがあっても“猫を助けるためにはあきらめない”、“輪島の人が本当に求めているんだ”と、バッシングに負けない強さがありました」と実感した。
●欧米メディアが報道先行「動物は人間の心を支える存在」
滉平さんが猫を捜す姿を報道したのは、欧米メディアが先行した。動物も家族の一員であるという意識が日本より高く、震災や戦争が起こると、自分の犬猫を捜す人たちのことが大きく報じられるという。
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