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小惑星「ベンヌ」の石が日本にやってくる! リュウグウとの比較でわかることとは?

マイナビニュース / 2024年7月16日 11時12分

このサンプルは、すでにオサイリス・レックスの研究者チームによって分析が始まっている。これまでの分析により、まずサンプルがリュウグウ同様に真っ黒で、ベンヌから届いたものであることは間違いないこと――つまり地球上の物質が混入するなどしておらず、間違いなくサンプル採取が成功したこと――がわかっている。

また、サンプルの元素を分析したところ、「イヴナ型炭素質コンドライト」と同様の物質からできていることがわかった。イヴナ型炭素質コンドライトは、太陽系の元素存在度比(太陽系の平均的な化学組成)に近い組成をもつ隕石で、リュウグウも同じ性質をもつことがわかっている。

そして、酸素の同位体の分析からも、これらを裏付ける結果が出ている。同位体とは、同じ元素でも質量が異なる元素のことで、軽い酸素、中くらいの酸素、重い酸素の量の比率を調べることで、地球上のものなのか、地球外のものなのかを見極めることができる。ベンヌのサンプルを分析したところ、まず間違いなく地球外のものであり、そしてリュウグウやイヴナ型炭素質コンドライトに非常に近いものであることがわかった。

さらに、ベンヌのサンプルの中に含まれている鉱物を分析したところ、体積の8割くらいが「含水鉱物(水を含んだ鉱物)」でできており、そのほか炭酸塩、硫化鉄、磁鉄鉱、かんらん石などが含まれていることがわかった。この点も、リュウグウとよく似ており、水との化学反応を強く示唆するものだという。

くわえて、オサイリス・レックスの大きな目標のひとつに、探査機が現地で小惑星を観測したデータと、地球に持ち帰ってきたサンプルを分析したデータを比較することがあった。そして、実際に見比べてみたところ、探査機の観測からこういう鉱物がありそうだと考えていた、まさにそのものが、ベンヌのサンプルから見つかり、探査の結果が正しいことを裏付ける成果となった。

一方、驚きもあったという。たとえば、マグネシウムを含むリン酸塩や、かんらん石の存在度は、リュウグウよりも多く、違いがみられるとしている。

また、生命の起源に迫るうえで重要な手がかりとなる有機物の分析も進んでいる。たとえば、有機物をつくるような炭素や酸素、窒素といった揮発性軽元素が多く含まれており、リュウグウと同様に隕石として最高レベルの存在度だという。さらに、固体状の有機物から、アミノ酸のような揮発性の有機分子まで、さまざまな分子の存在が確認できるとしている。また、水素や窒素の同位体組成は、彗星とは異なり、リュウグウや隕石に近い様相であることがわかっているという。

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