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小惑星「ベンヌ」の石が日本にやってくる! リュウグウとの比較でわかることとは?

マイナビニュース / 2024年7月16日 11時12分

一方、JAXAでも、サンプル受け入れに向けた準備が進んでおり、すでにJAXA相模原キャンパスに受入施設が完成し、サンプルの到着を待っている。

受入施設は、クリーンルーム、クリーンチャンバー、そして観察装置群からなり、「はやぶさ2」が持ち帰ってきたリュウグウのサンプルを分析している施設とよく似ているものの、その知見を活かしてさまざまな工夫を施したという。

観察装置は、「フーリエ変換型赤外分光計(FTIR)」と「近赤外分光顕微鏡(MicrOmega)」という装置からなり、FTIRは水(OH基)や有機物による吸収を観察できる。MicrOmegaはフランスの研究機関IAS (Institut d'Astrophysique Spatiale)が開発し、提供された装置で、リュウグウのサンプル分析でも使用され、水や有機を含む鉱物の検出に成功した実績があるという。

現在は、これら観察装置群の調整とリハーサルを行っている段階で、今夏にサンプルを受け入れ後、まずは初期記載作業と呼ばれる、質量の測定や、可視顕微像撮影、赤外分光測定、顕微撮像といった作業を行う。まず、サンプルを分けていない状態で、サンプルの全体像の観察を行うことが目的である。

そのあと、粒子の一つひとつを分別し、個別の粒子や粉体粒子を分けて取り、詳細な観察を行っていくことになる。

そして今年末ごろに、国内外の研究機関などへサンプルを分配していくことになっている。

配分方法については、戦略的・優先的に配分するものと、一般公募によって配分するものに分けられるという。

戦略的・優先的配分について、登壇したJAXA宇宙科学研究所 地球外物質研究グループ グループ長の臼井寛裕(うすい ともひろ)氏は、「リュウグウとベンヌのサンプルはとても似ている。そのため、両者を比較して研究できるチームや組織に分配したい。また、JAXAは将来的に(火星の衛星の)フォボスからのサンプル・リターンを行う「MMX」を行う予定で、世界的には「アルテミス」計画で月からのサンプル・リターンも行う。それを踏まえて、2030年代、40年代のキュレーション技術を先取りできるようなチームにサンプルを渡したい」と、その狙いを語った。

また、一般公募については「広く国際的に公募することで、我々が想像もしなかったようなサイエンスを創出したい」とした。

これからの期待について、臼井氏は「それぞれのサンプルには、同じところと違うところがあり、幅もある。キュレーションの立場としては、どこが同じでどこが違っているのかなど、全体を見うたうえで、サンプルチームに渡したい。そこから年代や化学組成という形で成果が出てくるのを期待したい」と語った。

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