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大河原克行のNewsInsight 第315回 パナソニック「ナノイー」が累計出荷1億台を達成、次の大台到達へ「車載」と「海外」の存在感

マイナビニュース / 2024年8月9日 19時1分

ナノイーの開発は、1997年に、住環境の空気浄化をテーマに研究開発を開始したのが発端だ。新素材から発生するシックハウス症候群が社会課題となり、住宅への機械換気設備の設置が義務化されるといった動きがあった時代だった。パナソニックでは、2001年に、水が臭気成分を溶かす性質に着目し、これを空気浄化に応用することを検討。社員2人で研究をスタートさせたという。2002年にはナノイー発生ユニットの試作品が完成し、効果の検証を本格化していった。そして、2003年には水補給式のナノイーデバイスが完成し、その後、商品に搭載されていた。

ナノイーデバイスは、空質向けナノイーデバイスと、美容特化ナイノーデバイスに大別される。

空質向けナノイーデバイスは、2003年に水供給型のデバイスを開発。2005年にはペルチェを採用することによって、水供給レスを実現して大幅に小型化。その後も、必要最低限の水で同等性能を実現することを目指しながら、小型化を図っていった。また、OHラジカルの発生量を増加させるために放電技術を進化。2011年にはコロナ放電を採用し、毎秒4800億個のOHラジカルを発生することに成功。さらに、2016年にはマルチリーダー放電を採用し、ナノイーXとして、毎秒4兆8000億個および毎秒9兆6000億個のOHラジカルを発生させるデバイスを商品化。さらに、2021年にはラウンドリーダー放電により、毎秒48兆個のOHラジカルを発生させることができるようになった。「従来は点や線であった発光領域を、ラウンドリーダー放電により、円錐状の面に広げることができた。10年間でOHラジカルの発生量を100倍に増加させている」とした。

また、美容特化ナノイーデバイスは、2005年にコロナ放電によるデバイスを商品化。2016年にはマルチリーダー放電により、水分量を18倍に増加。さらに、2024年にはマルチリーダー放電の放電領域拡大によって、水分量を180倍に増加させ、これを新製品のナノケアUltimateに搭載している。

「髪に潤いを与える効果は、ナノイーに含まれる水分量の増加によって向上する。新たな美容特化ナノイーデバイスは、霧化電極形状の進化などにより、水分量を180倍にすることができた」と胸を張る。

彦根工場、2022年に年間1000万台の生産体制を確立

彦根工場では、研究、開発、製造が一体となり、デバイスの小型化、コストダウン、生産の自動化に取り組んできた経緯がある。とくに、2011年には設計思想をゼロから見直し、放熱性能や冷却性能を向上させた第4世代を開発。ペルチェ素子を最小化することで、37分の1にまで小型化することができたという。さらに、源泉一体自動ラインを導入。生産効率の向上を実現したことで、2022年2月には年間1000万台の生産体制を確立し、現在に至っている。

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