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有人帰還を断念、ボーイングの新型宇宙船「スターライナー」を襲った問題とは?

マイナビニュース / 2024年8月29日 7時15分

一方、スターライナーCFTの乗組員だったウィルモア宇宙飛行士とウィリアムズ宇宙飛行士は、来年2月に、スペースXの宇宙船「クルー・ドラゴン」運用9号機(Crew-9)に乗って帰還する。Crew-9は当初、今年9月に4人の宇宙飛行士を乗せて打ち上げられる計画だったが、2人に減らして打ち上げ、空いた座席に、ウィルモア宇宙飛行士とウィリアムズ宇宙飛行士を乗せて帰還するという流れになる。

ウィルモア宇宙飛行士とウィリアムズ宇宙飛行士はそれぞれ、これまでに2回、ISSに長期滞在した経験を持つ。また、NASAは長期間の宇宙飛行とそれが人体に与える影響についても多くの知見を持っていることから、2人が来年2月まで滞在することに支障はないという。

食料や水、日用品、酸素などについても、問題はないとしている。ISSには十分な備蓄があり、また必要となれば、今後打ち上げられる無人補給船で、追加の物資や貨物を運ぶことも可能だという。

会見に立った、NASAのビル・ネルソン長官は、「私たちは過去にも過ちを犯したことがあります」と振り返った。

「かつて、2機のスペースシャトルを失った(1986年のチャレンジャーと、2001年のコロンビア)のは、情報を開示できる文化がなかったからです。宇宙飛行にはリスクがあります。たとえ安全で、日常的になっていることであってもです。ましてや、今回のような飛行試験ミッションは、安全でも日常的なものでもありません。この決定は、安全への取り組みの結果です」(ネルソン長官)。

「帰還時に、スラスターがどれくらい使えるかわからない」

この決定は、NASAの審査会(FRR、Flight Readiness Review)を受けて行われたもので、26日に開かれた記者会見では、「NASAの参加者は全員一致で、スターライナーは無人で帰還させ、宇宙飛行士はクルー・ドラゴンCrew-9に乗せる案を支持した」という。

スターライナーを襲った問題のうち、ヘリウム漏れについては、漏れ率が減ってきており、またタンク内には帰還時に必要な量の約10倍のヘリウムが残っているため、大きな問題にはなっていない。

一方、RCSの問題は、深刻かつ大きな頭痛の種となっている。この2か月間に行われた試験や分析で多くのことがわかってきているものの、依然として、スラスター内で起こっている物理現象についての理解には不確実性が残っているという。

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