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有人帰還を断念、ボーイングの新型宇宙船「スターライナー」を襲った問題とは?

マイナビニュース / 2024年8月29日 7時15分

RCSは、ISSからの分離時をはじめ、軌道離脱噴射を行っている最中の姿勢制御、さらに再突入の直前に、宇宙飛行士が乗るクルー・モジュールとサービス・モジュールとを分離するための機動を行う際にも使用する。そのため、正常に機能しなければ、最悪の場合、大事故につながる危険性がある。

NASAでスペース・オペレーション・ミッション局の副局長を務めるケン・バウワーソックス氏は、「帰還において、スラスターが問題を起こすまで、どの程度使用できるかはわかりません」と語った。

また、NASAの商業クルー・プログラムのマネージャーを務めるスティーブ・スティッチ氏は、「スラスターは自然に故障するのか、それともそれほどわかりやすくない、別の故障モードがあるのか、それが重要です」と語る。

「このスラスターは明らかに、設計時よりも高温で作動しています。さらに、最近の分析で、『ドッグハウス』と呼んでいる推進システムのポッドのうち1つが、予想以上に過熱していることがわかり、さらなる不確実性が生じています」(スティッチ氏)。

なお、ボーイング側の担当者は会見には参加しなかったものの、X(旧Twitter)を通じて、「私たちは、何よりもまず、乗組員と宇宙船の安全に焦点を当て続けています。私たちは、NASAが決定したミッションを遂行し、無人での帰還を安全に成功させるため、宇宙船を準備しています」との声明を発表している。

●ボーイングとNASAにとって大きな痛手、この苦境を乗り越えられるか
ボーイングとNASAにとって大きな痛手

スターライナーは、ボーイングが開発している有人宇宙船で、ISSや、将来建造が予定されている民間の宇宙ステーションなどに、人員を運ぶことを目指している。

NASAは2010年から、民間企業に商業用の有人宇宙船を開発させることを目的とした「CCDev」プログラムを立ち上げ、審査を経て、2014年にボーイングとスペースXの2社を採択し、ボーイングはスターライナを、スペースXはクルー・ドラゴンを開発した。

この背景には、スペースシャトル引退後のISSへの宇宙飛行士の輸送を民間企業に委託し、宇宙ビジネスを振興する狙いがあった。とくに、2030年代には民間の宇宙ステーションの建造も予定されており、地球低軌道での有人活動は民間のものになっていく気運が高まっている。

また、それによりNASAは、有人月・火星探査に注力できるという狙いもあった。

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