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灘中灘高・東大医学部・東大病院勤務の超スーパーエリートが起業→コミュニケーションで大切にしている「連帯力」

マイナビニュース / 2024年8月30日 10時3分

おかげで、米国に行っても、シンガポールに行っても、「多田さん、あなたに会うのは初めてだけど、あなたの論文はずっと読んでいたよ」と言われます。

論文に関しては、2018年の途中からは、私は監修に回っています。

テレビのプロデューサーと同じで、おおまかな方針を決めて、あとは現場の優秀なスタッフに番組をつくってもらうスタイルのようなものかと思います。論文の大きな方向性を固めたあとは、複数の優れた先生方に委ねるようにしました。

たくさんの論文を出すことができているのは、このスタイルにしていることも大きいとです。すべて自分一人でやろうとしたら、こんなに論文を書くことはまずできないでしょう。

思い起こせば、クリニックも一人だけでやろうとはしませんでした。開業時は、常勤医は私だけで、あとは非常勤医師という顔ぶれでスタートしました。

その後、内視鏡検査数が年間8,000件規模になると、現実問題として回せなくなり、常勤医こそ置きませんでしたが、東大やがん研有明病院などから来た先生、大学院生や後輩など多くの人に手伝ってもらっていました。こうしたチームワークで、高いクオリティを保つことができたと思います。

ただ、日本にあるクリニックの9割以上は一人開業医。自分の理想の医療を突きつめたいと思うと、自分自身で全部やるのが確実だからです。

それは一つの考え方であり、否定はしません。実際、人に任せるよりも自分がやったほうが早いのは当然です。開業前に、あるクリニックの先生からこんな話を聞いたことがあります。

ある大学院生に内視鏡を任せたところ、患者さんから「痛かった」と何度かお叱りをいただいたそうです。バイト代を払ったうえにクレームが来る。いいことありませんよね。

それでもその先生は彼に任せ続けました。痛がる患者さんには鎮静剤を打って5分以内に検査を終わらせること、それでもだめなら患者さんには迷惑がかからないようにほかの医師が介入するから、というルールもつくって「やってみろ」と言い続けたそうです。

1年間はなかなかうまくいかなかったそうですが、3年から4年経過する頃にはみるみる上達し、クリニックに欠かせない戦力となりました。

人に何かを任せるときは、点ではなくて、線で物事を見るべきだという例です。

「多田君、別に組織を大きくしたくないのだったら、自分の目の届く範囲でやればいい。けれど、大きくするのであれば、最初に仕事を任せる大変な時期は乗り越えないとだめなことだよ」

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