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中小企業デットファイナンスの新潮流 第24回 2023年の資金調達環境の概観 創業ファイナンス

マイナビニュース / 2024年9月6日 8時0分

画像提供:マイナビニュース

デットファイナンスに関する短期集中連載も8年目に入りました。2023年の資金調達環境に関する統計情報が出揃いましたので、執筆を再開いたします。5年前から継続して取り上げているテーマですが、今回も創業ファイナンスに焦点を当てて解説します。【1】新設法人数の推移、【2】ベンチャーキャピタルの投資状況、【3】創業融資の実績の順に、数字を追っていきます。

○【1】新設法人数の推移

新しく設立された法人の数の推移については、東京商工リサーチが毎年発表している「全国新設法人動向」調査にて確認することができます。直近5年の新設法人数を抜き書きすると下記の通りとなります。「株式会社比率」は筆者が計算しました。

2023年の新設法人数は再び増加傾向へと転じました。新設の株式会社数についても同様のことが言えます。新設法人数に占める株式会社の割合は約2/3と、例年通りの水準です。生産年齢人口が減っている環境下で新規設立された法人の数が増えている背景として、政府のスタートアップ支援政策が機能したと考えたいですが、インボイス制度の導入により個人事業主のいわゆる法人成りが増加したと分析している記事(2024/6/27公表の東京商工リサーチ「TSRデータインサイト」)もあるため、起業家が増えたか否かについては判断が難しいです。子会社設立が増加した場合においても新設法人数が伸びるので、数値を解釈する際に注意しなければなりません。
○【2】ベンチャーキャピタルの投資状況

ベンチャーキャピタルの投資件数・投資金額を集計して発表している法人はいくつかあるのですが、本稿では例年通り2つ紹介いたします。

一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンター(VEC)が毎年発表している「ベンチャーキャピタル等投資動向速報」は、日本に法人格があるベンチャーキャピタル等に対してアンケート調査をして集計されています。VECは1983年(昭和58年)からベンチャービジネスの動向を調査している機関で、過去に発行していた『VEC年報』の時代を含めればスタートアップのトレンドを10年単位で追うことができるので、筆者は公表資料を毎年確認しています。直近5年のベンチャー企業への国内件数投資と国内投資金額を拾うと下記の通りとなります。「投資金額/件」は筆者が計算しております。

中期的なトレンドとしてコロナ禍で投資を手控える動きがあったものの、件数の観点では基本的に増加基調で2022年にピークを迎え、2023年は減少しましたがコロナ禍前と同じ水準を維持しています。投資金額の観点では、合計金額も1件当たり金額も2021年がピークでした。2023年は投資家の消極姿勢が鮮明になったと言えそうですが、前年と比較して投資金額の減少幅が小さくなっているので、2023年もしくは2024年に相場が底を打つことを期待しています。

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