日本の建設産業、これまでとこれから
マイナビニュース / 2024年9月18日 10時0分
蟹澤: イギリスは、BIMが登場する以前から、発注側と施工側の対立や、建設産業の生産性の低下に悩んでいました。1994年に業界で改善すべき点を指摘したレイサム・レポートが出され、話題になりました。BIMが出てきたときに、こうした問題点を解決できる良いものが出てきたと捉えられたわけです。つまり、設計目線と発注者目線があるわけです。
志手: いずれにしても、このコラボレーションに日本が乗り遅れると、海外で勝負できない国になっていく可能性が高い。
野原: ISO19650は当社でも、取得しようと考えているのですが、ゼネコンでも取得しているところは少ないと聞きます。日本での浸透が鈍い理由は、何かあるのでしょうか?
志手: 免罪符のように「日本の商習慣に合わない」なんて言葉を使う人が多いのですが、それは、「新しいことはもういいです」と言っているように感じます。
日本人は3次元など新しいツールには興味津々で飛びつくのですが、自分たちの仕事のやり方を変えなくてはならないことには関心が極めて低い。日本の中で仕事をしているからという理由であれば、それはそれでいいのかもしれませんが、国内市場そのものが縮小していく中では、意識を変えていく必要があります。
野原: 抵抗というよりも、仕事の進め方を変えることに無関心なのですね。
志手: 例えば、ISO19650の中に書いてあるのは「ファイルの命名規則を共有しましょう」「発注要件には、こういうことを書きましょう」「BIMがどのように実行されているのか、このタイミングで明確にしましょう」など、基本的な協働の心構えやルールづくりのようなものです。
大勢が関わるプロジェクトを進める上では、やるのが当たり前のことばかり。日本の建設産業は、この基礎的なことが共通認識できていないので、現場が混乱したり、どの図面が最新なのか、どこを修正したのか分からないといったことが頻繁に起こったりするのかもしれませんね。
●BIMの導入は何を変え、どんな意味を持つのか
野原: BIMの導入によって、建設産業の流儀はどのように変わっていくのでしょうか。
志手: 大きな意味でのコミュニケーションは変わりますよね。設計側でやりたいことが明確に現場に伝わり、差し戻しも少なくなる。効率化が図れるから、人材不足で悩む産業にとっては大きな意味があります。
野原: 発注者、設計者、元請け、下請けなどのプロジェクトのメンバー同士の関係性は、どのように変わっていくでしょう。
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