日本の建設産業、これまでとこれから
マイナビニュース / 2024年9月18日 10時0分
※2 BIM(Building Information Modeling):建築物の情報を3Dデータ化し、設計から維持管理まであらゆる工程で利活用、業務効率化を図れる
仕組みのこと
志手: まさにこれまでの新技術ありきの導入ではなく、現場のため、といった視点での普及が期待されます。世界的にBIMが急速に広がり始めたのは、この5~6年ですが、最も導入が進んでいるのは、イギリスやアメリカだと思います。
面白いのが、BIMに取り組んでいた国と、最近取り入れた国で使い方が二分されていること。イギリスやアメリカは設計からBIMに入れている。一方日本は、1990年代からすでに大手ゼネコンが3DCADに取り組んでいた歴史があったので、施工側から入っている。
野原: 設計側から入るのと、施工側から入るのでは、どのような違いが出てくるのでしょうか。
志手: 欧米の設計事務所などに行くと、社員のパソコンには必ず「Revit」などのBIMソフトが立ち上がっている状態で、普通の道具として使っています。誰かがモデリングしたデータから数字を出すとか、情報を出すとか、あるいは、そこに情報を入れるといった具合に、普通に設計業務などに使っています。ところが、施工側ではアナログなままです。
日本は、まったく逆。デジタル化が施工の方から入ってきたので、施工計画や掘削計画などは、世界でも稀に見る精緻なモデルを作り上げている。ところが、設計の方は図面化するための道具くらいにしか考えていない。だから、日本が一方的に遅れているとは思わない。欧米と日本では得意な分野の違いだと思います。
野原: それぞれ強み、弱みがあるわけですね。
志手: 問題は、次に来ている国です。この5~6年の間にBIMを取り入れ始めた国は、BIMを使用して情報管理を行うための国際規格「ISO19650」(※3)をベースにしています。みんなが共通のガイドラインを認識しながら、スピード感をもって巨大なプロジェクトを進めていくことができるようになるわけです。それが、ベトナム、マレーシア、中国、あとは南米ですね。今後、さらに大きなプレゼンスを発揮していくのではないでしょうか。
※3 ISO19650:BIMで構築された資産の情報管理のために定められた国際規格。大手ゼネコンを中心に認証取得が進んでいる
野原: 中東はどうでしょう?
志手: 中東も欧米のプロジェクトマネジメントが入っていますので、BIMを使う国が増えていくでしょう。アメリカは、そうした時代に向けて自国のガイドラインを改定してうまく国際規格に合わせるなどしている。
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