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東芝、機械式・光学式の同等精度を有する小型MEMS慣性センサモジュールを開発

マイナビニュース / 2024年9月5日 6時25分

開発された技術的な特長

従来のMEMSを用いた慣性センサの仕組みは、MEMS内の重りの振動に回転が加わると、振動する直角の方向にコリオリ力が発生。どの程度の振幅であるかを測定することで角速度を導き出している。また、加速度については、加速度で変化する重りの動きをバネで計測して、その変位から導き出している。いずれの計測でも変位を使うため、変位が大きい方が高い精度を出せるが、変位を大きくすると計測範囲の限界に到達しやすくなり、ある程度状の大きな値(DR)を計測できなくなるというトレードオフの関係があり、高精度化にはこの問題を解決する必要があった。

そこで今回の研究では、検出原理を工夫することで、フーコーの振り子の原理から角度を直接検出するジャイロセンサ(MEMS角度直接検出型ジャイロセンサ、MEMS-RIG)を開発。加速度についても、共振周波数が変わるという検出原理を使った加速度センサ(MEMS差動共振型加速度センサ、MEMS-DRA)を開発。これらは基本的に変位を活用しないため、ダイナミックレンジを気にせずに高精度な測定が可能だという。

開発ジャイロセンサを活用したジャイロコンパスを試作

これらの技術を活用して開発された慣性センサモジュールのサイズは手のひらほどの大きさ(12cm×8cm×2cm、200cc弱程度)で、これを今回の研究開発では東芝電波プロダクツがジャイロコンパスに応用。その試作機の性能評価も行っている。

ジャイロコンパスは地球の自転を測定することで、北の方角を推定するもので、地磁気を使わずに方位角を測定できるという特徴をもつ。ジャイロコンパスを北に向けると地球の自転がプラス方向で計測される。緯度により若干異なってくるが、同社の研究拠点がある神奈川県川崎市では12.3°ほどで、東西に向くと、自転方向と回転検出方向が直交するため検出できずに角度はゼロとして導き出されることとなり、逆に最大出力の時が北を向いているということとなる。

ジャイロコンパスはさまざまな手法のものが存在しているが、高精度を達成できる機械式・光学式のものは数十リットルクラスの大きさとなり、可搬が難しいという課題がある。一方のMEMSジャイロコンパスは、小型にはできるものの精度は1~1°弱程度とナビゲーショングレードの精度からは程遠いという問題があった。今回開発された技術を活用したジャイロコンパスでは、大きさは約4リットルほどで、重さも約4kgでありながら、0.056°の方位角精度(1km先で1m以内の誤差)で真北推定を実現したとのことで、これは計算上では1/1000ラジアンで、高精度なジャイロコンパスとしての指針の値を達成したとする。

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