「The職人」ベテランに聞く!建設現場で起きていること、これから起きること
マイナビニュース / 2024年9月20日 10時0分
小泉: 独立したいと思う人は自分から独立しますから。そういう人はやっぱり目的意識が違うので、成長の勢いが違うとは思います。では、独立を目指さない人はどうしたらいいのか、彼らをどう導いていくかというのが我々の課題になると思うのです。
独立心を芽生えさせてあげるのか、会社のために頑張ろうという熱量を上げてあげるのか。先ほど給料の頭打ちの話がありましたが、私は自分の取り分を多少減らしてでも、歩合でみんなに配るようにしています。やはり給料が上がらないと、会社のために働こうという気持ちにならないと思います。
●若い人が建設産業に入りたいと思うために何ができるか
野原: 建設産業では人手不足、中でも若手の入職者の確保は喫緊の課題です。若い人に興味を持ってもらうためにできることとは何でしょうか。お考えをお聞かせいただけますか。
豊崎: 当社に出入りする10代の人に話を聞いてみると、職人を選ぶことに躊躇する理由が、「体を壊したらもう働けなくなるから」と言うのです。収入に対してリスクが大きいという印象を強く持っているようです。
吉富: 確かにその通りだとは思います。ただ一方で、われわれが職人という仕事の夢を見せられていないことを痛感して、くやしさもあるのです。体を壊したときのリスクは昔も今も変わらないと思います。私は20数年前に勤めた会社の社長をはじめとして、会社の活気のある様子を見て「自分も独立したい」と憧れました。
ただ、今は憧れよりも、休日がとれるとか、時間通りに終われるとか、それが職業選びで優先されているように感じます。つまり、若い人がリスクを背負って一旗揚げたくなるような夢を見せられていないのかもしれません。
小泉: 私は若い人と建設に接点がないだけかもしれないと思うんです。若い人に将来なりたい職業を聞くと、サッカー選手や野球選手、最近だとユーチューバーなどが出てきます。
こうした職業はテレビやインターネットで触れられるものばかりじゃないですか。じゃあなんでそこに職人が候補に入らないのかというと、小さい頃から職人と接する環境がないからだと思うのです。
私は高校を卒業した後に運送会社に就職しましたが、実際に転職するまで電気工事士の仕事のことはほとんど知らなくて、勉強してはじめて電気工事士のすごさを知ったんです。
そうした自分の体験を振り返ると、建設業が選択肢に入るタイミングは人それぞれですが、接点を早めに持てるような機会創出が必要でしょう。
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