1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. パソコン

大河原克行のNewsInsight 第322回 シャープ研究開発から見えた新成長モデル、生成AIとEV、鴻海も活用し再起図る

マイナビニュース / 2024年9月11日 15時22分

AIに関しては、2つの観点から説明した。

ひとつは、AIoTである。AIoTは、AIとIoTを組み合わせたシャープの造語で、様々な家電をクラウドのプラットフォームにつなぎ(IoT)、人工知能(AI)化することで、人に寄り添う、優しい存在へと進化させることを目指している。

2015年にスタートした際には、シャープのテレビや白物家電をAIoT化することで、家電の機能やサービスの拡張を実現。キッチン家電では、レシピのダウンロードサービスを提供するといった実績がある。これを「AIoT1.0」とすれば、サービスをさらに進化させ、複数機器との連携や住設機器との連携、他社サービスとの連携によって、新たな価値の提供を開始したのが「AIoT2.0」だといえる。

そして、2024年度から、シャープが進めているのが「AIoT3.0」である。連携する機器のさらなる拡大により、2024年9月1日時点で991機種がAIoTに対応。対応製品の累計出荷台数は国内で900万台を超えているという。加えて、「AIoT3.0」では、社会課題の解決のための基盤としても活用できるように進化させるという。

社会課題解決への応用では、すでにPoCを開始している事例がある。たとえば、自信や台風、水害といった自然災害などの発生により、停電したり、集落が孤立したりといったことが発生するケースが国内でも増えているが、AIoT家電の接続データをもとに、電気が停止したエリアなどを瞬時に把握。自治体や関連団体と連携することで、迅速な救助活動や支援活動につなげることができるといったケースが想定される。

AIoT3.0を支えるのが、シャープ独自の生成AIコア技術「CE-LLM」である。

CE-LLMは、「Communication Edge-LLM」の意味を持ち、ユーザーからの問いかけに対し、Chat GPTなどのクラウドAI、あるいはローカルLLMなどのエッジAIのどちらで処理するのかが最適であるかを即時に判断。スムーズで自然な会話のやりとりを実現することができる。また、データをCE-LLMによってエッジで処理したあとに、クラウドにデータをあげて、ネットワークへの負荷を削減したり、データセンターでの処理を最小化したりといった使い方も可能になる。

シャープ 研究開発本部長の伊藤典男氏は、「個人に依存するようなプライバシーを守りたい情報はエッジで処理し、データ量が多いものは一部を切り出してクラウドAIにあげて処理することもできる。また、AIと会話している際に、返答までに時間がかかることがある。利用者はちゃんとした答えが返ってくるのかが不安になるが、AIが相槌を打ったり、いま答えを考えているといった内容を表示すれば、利用者は不安にならない。それもクラウドAIに、エッジAIを組みあわせることによって実現できる機能のひとつだ。シャープならではのAIの価値を実現できる」とした。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください