建設DXで未来を変えていく
マイナビニュース / 2024年9月30日 10時0分
ただし、建設産業と一括りにまとめてしまうと、問題を見誤る恐れがある。
都市部と地方の問題は分けて考えた方がいいでしょうね。都市部で建築学を学んだエリート層から見れば、この世界は今も夢があるんですよ。デザインの観点からいろいろなチャレンジができますし、大手に入れば新しい情報や価値観にも触れられます。そういうアッパーサイドの人から見れば、建設産業は今も十分に魅力的な産業のひとつであり、この世界を目指す人は必ず出てきます。
大きな課題があるのは地方の現場です。先述の通り、地方の主要産業は建設と農業ですから、建設に人が集まってくれないと地域経済そのものが危うくなるわけですね。地方の生活が成り立たない状況を防ぐためにも、建設産業は高額の賃金で人を集めなければならない。
野原: DXやAI化が本当に進むと、各産業、各企業で必要な職種や人員数など、今とは全く違うものになるのではないでしょうか。岸先生はどう思われますか?
岸: ホワイトカラーは大きな影響を受けることになるでしょうね。日本に限った話ではありませんが、ホワイトカラーとして働く人の能力差がとても大きいのはご存知の通りです。言ってしまえば、給与に見合う成果を出せない人が本当に多い。だから日本企業はずっと社内失業者を抱え続けてきたのですが、いよいよもうそんな余裕がないということで、大手企業は大幅なリストラをし始めています。
この流れは今後AIの導入が進むにつれ、さらに顕著になっていくでしょう。これまでは大学を出たらみんなホワイトカラーになるのが当たり前だと思われてきましたが、その時代はもうすぐ終わります。ホワイトカラーは一部の有能な方とそうでない方に二極化されていくでしょう。
では、ホワイトカラーでなくなった人はどこに行くかというと、サービス業や農業の現場、建設産業の技能労働などが受け皿になるはずです。次に輝ける場所として、これらの仕事がどれだけ伸びていけるかは私も興味があります。
野原: DXだけでなくAIによる生産性向上により、過剰気味だったホワイトカラーの淘汰も行われる。そして同時に、産業を飛び越えた非常にダイナミックな雇用の流動が起きるわけですね。
岸: そうですね。大学を卒業してホワイトカラーになろうという人の多くは終身雇用が目当てでした。その結果、多すぎる数のホワイトカラーが誕生していたわけですが、これがそもそも不自然だったわけです。今後AIの導入が進むと、ホワイトカラーに向いていない人が他の産業に移り始めますので、結果として自分に合った仕事に就けるようになる可能性もあるのではないでしょうか。
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