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東大、サケ稚魚がコスパよく泳ぐための水温と遊泳能力の変化を解明

マイナビニュース / 2024年10月1日 6時30分

画像提供:マイナビニュース

東京大学(東大)は9月27日、これまでサケ(Oncorhynchus keta)の稚魚は主に13℃以下の水温帯に生息することが知られていたが、その理由が不明だったため、岩手県産のさまざまな体サイズのサケ稚魚を複数水温で飼育し、スタミナトンネル(閉鎖型循環水槽)に封入して呼吸代謝実験を行った結果、体重の増加に伴って臨界遊泳速度が高まり、水温13℃以下の水温環境であれば、遊泳効率が高くなることが示されたと発表した。

同成果は、東大大学院 農学生命科学研究科 水圏生物科学専攻の飯野佑樹大学院生(研究当時)、東大大学院 新領域創成科学研究科 自然環境学専攻/東大 大気海洋研究所(AORI) 海洋生命システム研究系の北川貴士教授、日本大学生物資源科学部 海洋生物学科の阿部貴晃研究員/日本学術振興会特別研究員-PD、岩手県水産技術センター 漁業資源部の清水勇一 上席専門研究員、岩手県沿岸広域振興局 宮古水産振興センターの長坂剛志 水産業普及指導員らの共同研究チームによるもの。詳細は、淡水および海洋環境に関連する水産および水生科学に関する学術誌「Canadian Journal of Fisheries and Aquatic Sciences」に掲載された。

北太平洋に広く分布するサケは、川で生まれた後に海に降り、成長した後に生まれ故郷の川に戻って産卵し、そこで一生を終えることがよく知られている。海に降って数か月の間は沿岸域で過ごし、その後に北上回遊を始めるが、このころはまだ稚魚であり、それだけ他の魚に食べられやすい。その際、これまでは体のサイズが大きい稚魚が生き残りやすいと考えられてきた。その理由は、体サイズが大きいと、素早く泳いで天敵から逃れられる能力が高いからだ。また稚魚は主に13℃以下の水温帯に生息することが確認されており、北上回遊に関しては、沿岸域の水温上昇も何らかの関係があるという指摘がなされていた。しかしこれまでのところ、稚魚の遊泳能力、水温の変化、そして北上回遊が互いにどのように関連しているのかは、解明されていなかったとする。

サケの分布域の南限に近い岩手県沿岸域では、親潮や津軽暖流といった南向きの冷たい海流が流れている。海に降りた稚魚が北方海域にたどり着くためには、天敵からの逃避だけでなく、このような海流に逆らいながら長距離を泳ぎ切る遊泳能力が重要とされている。しかし、海に降りた稚魚の遊泳能力そのものに関しても、これまでのところまだあまりわかっていないという。そこで研究チームは今回、複数の水温、体サイズ条件で呼吸代謝実験を行い、遊泳能力の指標である「臨界遊泳速度」と「遊泳効率」を定量することで、遊泳能力の発達過程と北上回遊の関連の解明を試みることにしたとする。

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