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物流2024年問題で期待高まる内航海運モーダルシフト、その課題とは? - 日本内航海運組合総連合会がセミナーを開催

マイナビニュース / 2024年10月28日 6時30分

また、モーダルシフトを行おうと思ったとき、物流事業者、あるいは荷主企業の物流部門において、取引先の関係や製造・生産や営業部門との調整がネックとなることにも言及した。この問題に関しては、リードタイムやロットの見直しなど、物流条件を変更しないと難しい。現在、荷主企業の各業界団体における見直しの進展が行われているが、これは大きな追い風になると矢野氏。また2024年問題によって、物流が抱える問題の他部門の認識、取引先の理解の進展が進んでいるのではないか、と期待を寄せる。

物流拠点の分散化や、モーダルシフトの対象貨物が企業内輸送から取引先への直接輸送に拡大するといった転換も起きている。これまでは需要に合わせて供給側が物流サービスを提供していたが、今後は安定供給のため、物流サービスに需要側が合わせる流れができるのではないか、と矢野氏。

「今までは物流はその場対応のものが多かったのですが、今後は先を読んだロジスティクスへの転換が重要です」と最後に締めくくった。
○トラックから内航海運へのモーダルシフト事例も

また、実際にモーダルシフトを実現した事例紹介も行われた。海上輸送へモーダルシフトし、環境負荷の低減に特に貢献したと認められる優良事業の荷主及び物流事業者のなかでも、特に革新的な取り組みを行った「令和5年度 海運モーダルシフト大賞」受賞企業より、ダイキン工業と下関三井化学が登壇。その取り組みを発表した。

ダイキン工業からは、鹿島製作所 保安管理課長 山口昭範氏が取り組みを解説した。同社の柱のひとつである化学事業ではフッ素化学製品を手掛けており、「蛍石」を原料に製品を作る際の廃液・廃ガスで「再生蛍石」の精製も行っている。この輸送に関して、物流事業者の活材ケミカルの仲介で、発荷主のダイキン工業と、着荷主の下関三井化学が連携、再資源化した再生蛍石を海上輸送を実現した。

背景として、同社の化学プラント増設計画にあたり、プラントから排出される不要なフロンガスと廃液の増加、それをもとにした年間2,000トンの再生蛍石の発生がある。1,119km先の山口県下関市まで再生蛍石を出荷する予定において、モーダルシフトにチャレンジしたという。ポイントは、CO2排出量削減と輸送頻度の削減、また2024年トラックドライバー労働時間の削減と、社内作業の削減検討による働き方改革も視野に入れたという。

20tコンテナ車を使用するため、プラント内の道路幅不足や、車体が高く従来のショベルローダーでは積み込みができないということ、また東京港まで指定時間までに届けるといった制約もあったが、環境の整備や社内調整で解決した。今後は今回の事例を参考に、他の排出物についても効率的かつ環境に配慮した輸送方法を目指していく。

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