奈良交通とNTT西日本が作った「観光バス リモート案内システム」とは?
マイナビニュース / 2024年11月28日 10時0分
あらゆる産業で人手不足が進行するなか、バス業界はとくにその影響を強く受けており、運転者のみならずバスガイドのなり手も減少の一途を辿っている。そんなバスガイド業務におけるDX化の好例が、奈良交通とNTT西日本の「観光バス リモート案内システム」だ。
○修学旅行のバスガイドが減っている
奈良交通はバス事業を通じて長年、古都・奈良を支えてきた。とくに観光バスは奈良の歴史と文化を伝える役割を担っており、団体旅行でバスガイドの語る観光案内を聞いた方は多いはずだ。修学旅行ではバスそのものが教室となり、ひいては将来の観光や、関西との交流の最初の一歩ともなる。
だが、バスガイドの需要は年々低迷。観光バスへのバスガイドの帯同は必ずしも行うものではなくなってきており、20年前は200名を超えていた奈良交通のバスガイドも、現在は16名が在籍するのみだそう。
その背景には少子高齢化や顧客ニーズの変化のみならず、修学旅行における学習のあり方の変化もある。近年の中学・高校生は歴史や背景について学んでから修学旅行に臨むことが多く、観光バスにバスガイドが乗務しないことも多い。
○時代に合った新しい案内システムを
観光バスの環境とニーズが大きく変化していくなかで、奈良交通 自動車事業本部 観光事業部 部長 兼 貸切バスグループ長の大谷和也氏は“お客様が求めているものとバス会社の運営にズレが生じている”と感じており、時代に合わせたシステムの導入を模索していたという。
そんななか、コロナ禍によって観光業界が非常に不安定に。2021年、大谷氏はたまたま別件で奈良交通に来ていたNTT西日本に「時代に合った新しい案内システムを作りたい」と相談を持ちかけた。
「位置情報を使って自動で案内を流すことも可能だと思いますが、修学旅行には地元の人とのふれあいという楽しみもありますので、あまりにも人間味がありません。かといって、従来型のバスガイドは人材が不足しています。ですので、“案内部分はリモートで、バスには『交流ナビゲータ』に乗車してもらい、お客様との交流や目的地でのアテンドなどを担ってもらう”という案でスタートしました」(奈良交通 大谷氏)
大谷氏が新しい案内システムという案を出した理由には、バスガイド業務の労働時間の長さもある。一日中バスの車内で観光案内を行い、目的地でのアテンドも行うバスガイドは、身体的な疲労も大きい。ゆえに、最初は自宅からリモートで案内を行うというアイデアだった。
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