【決算深読み】パナソニックHD決算 2024年度上期は予想覆す改善、AI関連で好調目立つ
マイナビニュース / 2024年11月1日 16時2分
インダストリーでは、生成AIサーバー向けの導電性高分子コンデンサーと、多層基板材料が該当。「市場拡大の波を捉え、売上が急拡大している。年間では、前年比1.8倍の350億円の事業規模に成長する見込みである」と述べた。
また、エナジーでは、データセンター向けの蓄電システムの需要が急拡大。年間では、前年比1.8倍となり、事業規模は1000億円超を想定している。
「蓄電システムは、モジュール化したことによる耐熱性や高容量性が評価されている。車載電池などとは異なり、生産設備に対して、長期的な計画を立て、大規模な投資を行うというものではない。必要な投資は行うが、それによって成長に追いついていける性質のビジネスである。生成AI関連については、今後も成長が期待され、収益性も高い。下期の高い伸びが期待される。需要をしっかりと取り込むべく、対応の強化を図っていく」との考えを示した。
2024年度は、パナソニックグループにとって、中期計画の最終年度となるが、累積営業キャッシュフロー2兆円、累積営業利益1兆5000億円、ROE10%以上の3つの経営目標のうち、累積営業キャッシュフロー以外は未達になることが明らかになっている。
「中期計画の3年間は投資フェーズにあり、キャッシュフローを重視していた。だが、浮き彫りになったのは収益性の低さ、投下資本の収益性の低さである。ここにしっかりとメスを入れることが大切である。低収益事業に手を入れ、2026年度末には、ROIC(投資資本利益率)がWACC(加重平均資本コスト)を下回る事業がないように手を打っていくことになる」とした。
2023年度末には、8事業部が低収益事業に位置づけられており、売上構成では約20%を占めるとされているが、「良化している事業部があり、いくつか外れたところもある。漏電性キャパシタを担当しているFAソリューション領域では、生成AI向け需要の増大で好転してきた。だが、固定費や投下資本を見直すなど、やることはまだ多い」とした。
また、中期計画では、車載電池、空質空調(A2W)、サプライマネジメントソフトウェアの3つを重点投資領域としてきたが、「2年間を経過して、世の中の事情も変わってきた。投資のスピードは調整する必要がある。車載電池の投資もピークも超えようとしている。これからも3つの投資領域を堅持するという考え方はなく、見直しをしていくこともありうる」と語った。
2025年度から始まる新たな中期計画では、新たな成長投資戦略が盛り込まれることになりそうだ。
(大河原克行)
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