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内航船舶技術支援セミナーが開催 - 今年のテーマは『連携型省エネ船の普及に向けた取り組み』

マイナビニュース / 2024年11月14日 16時45分

「船舶や航空機の事故の多くはヒューマンエラーによるもの。これまで事故の80%くらいを占めると言われてきました。今後、船舶はますます大型化・複雑化し、海上輸送量は増え続け、一方で船員さんは減っていく。そこで、デジタルを活用したサポートが必要になってきます。いま私たちは商船三井さんの協力を得て、実際の船舶でデジタルツインの実証実験をスタートさせました」(村山教授)

続いて、海上・港湾・航空技術研究所の平田宏一氏が登壇した。同氏は「連携型省エネ船のコンセプトと今後の在り方」をテーマに掲げる講演のなかで、内航未来研究会の連携型省エネ船『SIM-SHIP 1』を紹介。同船のコンセプトを踏まえて、運航、離着桟、荷役、停泊時の省エネ技術を搭載した499GT貨物船「國喜68」が建造された、と説明する。

「國喜68は、積荷の満載時に船速11.0ノットで運航する場合、約10.2%のCO2削減効果があり、また軽荷時に船速11.5ノットで運航する場合、約11.5%のCO2削減効果が得られるという結果が得られました」と平田氏。このあと、離着桟、荷役、停泊時の省エネ技術についても紹介したうえで「2013年の貨物船と本船の実運航データを比較すると、満載時に基準値を30%程度下回ることが分かりました。これは2030年目標船よりも高い省エネ性能を有しています」と報告した。

○塗料やプロペラ技術で省エネ実現へ

後半には、数件の技術講演が行われた。中国塗料の川上修氏は「最新低燃費防汚塗料」について説明する。同社が手がけているのは、船体に塗る塗料。川上氏によれば、塗膜表面が平滑に仕上がる『低燃費防汚塗料』(2010年発売)は船体への摩擦抵抗が低減するため、燃費低減効果を発揮できるという。

船底汚損と燃費増加の関係についても言及した。船底の塗料が劣化してライトスライム状になると9%も燃費が増加する。これがヘビースライムになり、やがてフジツボが付着し出すと最大で84%もの燃費増加につながってしまう。「摩擦抵抗が増えると、それだけ馬力増加が必要となります。コストもかかり、CO2の排出量も増えます」と川上氏。

同社では防汚塗料の『シープレミア3000PLUS』を提供中。実際、内航LPG船や内航タンカーなどに塗装したところ、約24か月の航行を経ても防汚効果は継続しており、フジツボの付着も確認できないとアピールする。

「近年、地球温暖化に伴う海水温の上昇により、海域における付着生物の種類も変化しています。汚損しやすい環境が拡大しており、従来品では対応できないケースも増えました。特に高汚損海域に頻繁に停泊する船舶は、修繕ドックにおけるコストの増加、工期の延長にもつながっています。中国塗料では、より最適な船底塗料を開発・提供することで、海運造船業界のお役に立てるようこれからも精進していきます」(川上氏)

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