内航船舶技術支援セミナーが開催 - 今年のテーマは『連携型省エネ船の普及に向けた取り組み』
マイナビニュース / 2024年11月14日 16時45分
ナカシマプロペラの岡田雄大氏は「省エネ・省力化に挑むナカシマプロペラ技術の最前線」について講演。同社では運航効率の改善という側面から省エネ・省力化にアプローチしている。たとえば先述の連携型省エネ船『SIM-SHIP 1』にも、複数の省エネ装置を組み合わせて最適プロペラと統合設計した『Monster Package』、あるいは全旋回型ジェットスラスタ『STEER-jet』といったナカシマプロペラの技術を導入している。
今治港で実施したSTEER-jetを使った実証実験では、低喫水の状態でも旋回(回頭)動作が問題なく行えることを確認。さらに横移動についても高度な操船性を確認できた。これを受けて岡田氏は「着桟時間が短縮できることで、トータルの運航時間の短縮にも寄与できます」と説明する。
またMonster Packageでは、船のプロペラを中心にZone 1、Zone 2、Zone 3に切り分けた省エネ付加物の商品を展開。Zone 1にはネイバーダクト、コンポジットステータ、Zone 2にはプロペラ・エコキャップ、Zone 3にはアルティメットラダーバルブを提供して、省エネ効果を最大限に引き上げる。
このほか、高度空気潤滑システム(ALS)の『ZERO』も開発中。高効率なプロペラ、省エネ付加物との組み合わせにより、船体の抵抗改善、推進効率の改善を実現していく(ALSとは、送風機で圧縮した空気を船底まで送り、船底と海水の間に気泡流を生成することで摩擦抵抗を低減するシステムのこと)。ナカシマプロペラでは、今後とも船のライフサイクル全体を支えるソリューションの提供に邁進していく、としている。
三菱造船の玉原正和氏は、タブレット型運航支援システムを紹介。同社では2024年12月より、船版ポータブルナビの『Navin(ナビン)』を提供予定としている。これは三菱重工の開発したSuper-Bridge-X(SB-X)をベースにしたもので、電子海図には日本水路協会のnew pecのデータを採用した。玉原氏は「航海計画を簡単に作成したい、ETAをリアルタイムに確認したい、トレーニングせずにすぐに使えるシステムが欲しい、大規模な改修工事をせずに導入したい、といったお客様の声に応えるシステムです」とアピールする。
壇上ではデモが披露された。船舶の航行中、ナビンからは「航路上に乗りました。進路を171度にしてください」「変針点に到着します。進路を103度にしてください」「前方1.5マイル以内に座礁危険区域があります」といった呼びかけが行われる。前方より危険が迫ったときには「危険船衝突回避のため、避航航路を計画します。進路を100度にしてください」とアナウンス。そして渡航計画も自動作成した。
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