変革の軌跡~NECが歩んだ125年 第4回 戦後の「平和と家電」の時代、ラジオからテレビ、そして半導体へ
マイナビニュース / 2024年11月12日 12時0分
新日本電気は、1968年に、カラーテレビ第1号となる「オートカラー太陽」を発売。1970年には、日本で初めて10万円を切るカラーテレビを投入。さらに、電子チューナーとセンサー選局機構を組み合わせた日本初の電子選局カラーテレビを1973年に発売したり、2画面表示が可能な複合テレビを発売したりといった差別化製品を相次いで投入していった。1977年には、「パピプペポン」の愛称で、14形から22形までの製品をいち早くフルラインアップするなど、業界の先陣を切った取り組みを進めてきた家電メーカーであった。
なお、日本電気ホームエレクトロニクスは、2000年に事業活動を終了した。
「扇風機」と「録音機」が日本に普及したきっかけ
話は戦前に戻るが、NECは、扇風機を日本に普及させるきっかけを作った会社でもある。
日本に電気扇風機が初めて輸入されたのは1893年であり、1894年には、芝浦製作所(東芝)が日本初の電気扇風機を製品化している。
NECは、1902年に、WEの電気扇風機の輸入販売を開始。これに、「電気うちわ」という製品名をつけて販売した。
このころは、家庭への配電は夜間だけであり、電気料金も高価であったため、購入者は富裕層や外国人、商社、高級レストランなどに限定され、NECの「電気うちわ」の新聞広告は話題を集めたものの、数多く売れるものではなかった。
だが、1914年から、都市における家庭への電力供給が広がり、電気料金が下がり始めると、「電気うちわ」は流行の寵児となり、その結果、NECが日本に扇風機を普及させるきっかけをつくることになったのだ。
実は、「電気うちわ」の販売が増加した当時のNECは、これ以外にもWE製などの家電製品を幅広く輸入し、家電事業を拡大しようとしていた。
PR誌である「日本電気月報」によると、トースターやオーブン、電気洗濯機、電気掃除機、電気アイロン、ルームクーラーなどを輸入販売していたことがわかる。
NECは、電話機や交換機の供給会社であるとともに、「家庭電化のフロンフィア」ともいえる存在だったのだ。
NECは、戦前から磁気録音機を開発し、実用化していた実績も持つ。
当初はワイヤー方式で開発していたが、世界の録音機がテープ式へと移行するなかで、NECは、1949年頃までにワイヤー式磁気録音機の開発を打ち切り、安立電気が所有していた東北大学・永井健三教授の発明による「交流をバイヤスとする磁気録音法」の特許実施権を取得し、東京通信工業(ソニー)と共同管理。1949年から、この特許を使用したテープ式磁気録音装置を開発、生産していった。
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