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ロケットを「箸」で捕まえた日 - スペースXが見せた技術力と火星移住への道筋

マイナビニュース / 2024年11月13日 14時39分

そこで、地上側の設備で捕まえるようにすれば、着陸脚が不要になり、頑丈に造る必要もなくなり、機体を軽く、簡素に造ることができ、打ち上げ能力の向上が図れる。また、機体がシンプルになれば再使用のためのメンテナンス性も向上する。一見奇抜に見えて――何度見ても奇抜だが――、理にかなった仕組みなのである。

スーパー・ヘヴィのキャッチに成功

今回の5回目の飛行試験(FT-5)では、まずスーパー・ヘヴィのみの捕獲試験が行われた。

これに先立ち、6月に実施した4回目の飛行試験で、スーパー・ヘヴィをメキシコ湾の指定した場所に、5mmというきわめて高い精度で軟着水させることに成功している。それだけの精度であれば、発射塔の箸の間に滑り込むには十分なため、今回の飛行試験で実際に捕獲が行われることになった。

ただ、万が一帰還や捕獲に失敗すれば、発射台はもちろん、周囲の環境にも大きな被害を与えてしまう。そのため、今回の試験では「機体や発射塔が正常で、条件が整った場合のみ」発射台への帰還を試みるとし、もし条件が整わない場合には、これまでどおりメキシコ湾に軟着水させるとした。また、帰還の可否は地上で最終決定することになっており、帰還のためにはフライト・ディレクターが手動でコマンドをスーパー・ヘヴィに送信する必要があった。

5回目の飛行試験では、スターシップ宇宙船はシリアルナンバー「シップ30」、スーパー・ヘヴィは「ブースター12」から構成された。いずれも今回が初飛行だった。

スターシップは、日本時間2024年10月13日21時25分(米中央夏時間13日7時25分)、テキサス州ボカチカにあるスペースXの試験施設「スターベース」からリフトオフ(離昇)した。ブースターが装備する33基のエンジンはすべて正常に燃焼し、大空へ舞い上がっていった。

離昇から2分35秒後、ブースターのエンジンは、中央の3基を除いて停止し、その直後にスターシップ宇宙船の6基のエンジンが点火した。そして高度約69kmで、両者のエンジンが燃焼している状態で分離する「ホット・セパレーション」を行った。

続いてブースターは、機体を反転させつつ、中央の10基のエンジンに再着火し、計13基のエンジンを燃焼させて、発射台に向けて飛行を始めた。やがて燃焼を終え、また分離部にあったリング状の部品を投棄した。

しばらく慣性飛行をしたのち、離昇から6分30秒後に13基のエンジンに着火し、ブレーキをかけた。その7秒後、ふたたび10基のエンジンを停止し、中央の3基のエンジンだけで降下を続けた。

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