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ロケットを「箸」で捕まえた日 - スペースXが見せた技術力と火星移住への道筋

マイナビニュース / 2024年11月13日 14時39分

一方、スターシップ宇宙船がサブオービタルで飛行し、インド洋上に着水するのも同じだが、FT-6では宇宙空間を飛行中にエンジンの再着火試験を行う。無事に成功すれば、一度地球を完全に回る軌道に入ったうえで、軌道から離脱して帰還する飛行が可能であることが実証される。

また、新しい耐熱材料の試験も行う。前述のように、宇宙船も将来的には発射台に帰還させてキャッチするため、そのハードウェアを取り付ける部分に、この新しい耐熱材料を使うことを計画しているという。

さらに、降下の最終段階では、意図的に高い迎え角で飛行し、フラップによる制御の限界を試験し、将来の着陸プロファイルに関するデータを取得するとしている。

打ち上げは現時点で、日本時間2024年11月19日7時00分(米中部標準時18日16時00分)に予定されている。今回の飛行試験と約半日ずれているのは、宇宙船が日中にインド洋に再突入できるようし、カメラなどによる光学的な観測をしやすくするためだという。

なお、2024年のスターシップの飛行試験は、これで終わりだという。ただ、来年早々にも7回目の飛行試験が予定されており、さらに大幅な改良を施した新型の「スターシップ2」のデビュー戦となる。スターシップ2は、再設計した前方フラップ、より大きな推進剤タンク、新型の耐熱タイルと二次熱保護層などを特徴とし、スペースXが目指すスターシップの理想像――人類の火星移住を実現するための移民船により近づく。

また、地球を回る軌道への投入や、衛星を放出しての軌道投入をはじめ、そして軌道上で2機のスターシップ宇宙船をドッキングさせた状態で推進薬の移送する試験なども行われる予定となっている。

来年は今年以上に、スターシップが飛び、そして帰ってくる光景が見られるかもしれない。そして、いつの間にかそれが当たり前の、日常の光景になっているかもしれない。火星移住という目標を掲げる同社にとって、それはまさに「うまい飯なら箸をおかぬ」ことだろう。

○参考文献

・Starship's fifth Flight Test - SpaceX - Launches
・Starship's Sixth Flight Test - SpaceX - Launches

鳥嶋真也 とりしましんや

著者プロフィール 宇宙開発評論家、宇宙開発史家。宇宙作家クラブ会員。 宇宙開発や天文学における最新ニュースから歴史まで、宇宙にまつわる様々な物事を対象に、取材や研究、記事や論考の執筆などを行っている。新聞やテレビ、ラジオでの解説も多数。 この著者の記事一覧はこちら
(鳥嶋真也)



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