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ロケットを「箸」で捕まえた日 - スペースXが見せた技術力と火星移住への道筋

マイナビニュース / 2024年11月13日 14時39分

再突入中、いくつかの耐熱タイルが剥がれたように見えたものの、それでも前回ほど損傷することなく持ちこたえ、濃密な大気の中を順調に降下していった。

離昇から約1時間5分23秒後、宇宙船のエンジンが再着火し、フラップを折り畳んだのとほぼ同時に、機体は「バックフリップ」し、水平姿勢から垂直姿勢になった。そして離昇から約1時間5分42秒後、海面に着水した。しばらくは海面に浮いていたものの、やがて爆発した。

着水から爆発までの一連の様子は、あらかじめ待機していた船から撮影された。これはすなわち、予定していた場所に、ほぼピンポイントで着水できたことを示している。

さらなる改良、早速の6回目の飛行試験

この成功は、スターシップの開発が着実に進んでいることを明確に示すものとなった。そう遠くないうちに、人工衛星を載せて飛ぶようになり、数年以内には人を乗せて飛び、そして月や火星に行く日も来るかもしれない。

開発が始まってから10年足らず、エンジンが止まったり爆発したりした飛行試験から1年足らずで、スペースXはこれほどのことを成し遂げた。

もちろん、課題はまだ多い。たとえば、箸で捕まえるという方法が本当に最適かは議論の余地があるだろう。しかし、スペースXの強みは、実際にやってみたことで、その長所も短所も知ることができたという点にある。改良が必要なら改良し、使い物にならないようならまた別の方法を考える――スペースXの開発のスピード感なら、どういう選択肢を取るにしてもすぐに対処できるだろう。

また、スターシップ宇宙船の耐熱システムについても、まだ改善の余地はあろう。ただ、今回の改良により一定の改善は見られたこと、そして今後回収まで成功し、さらなる分析やそれをもとにした改良ができれば、完成に近づく可能性は高いだろう。

そして、スペースXは早くも、11月18日に6回目の飛行試験(FT-6)の実施を計画している。

6回目の飛行試験は、FT-5とほぼ同じ飛行経路で飛ぶ。そのため、米国連邦航空局(FAA)からの再審査や再認可が不要なため、わずか1か月で実現できるのだという。

この飛行では、ブースターはFT-5と同じく発射台で捕まえる。すなわち、今回の捕獲成功がまぐれではないことを証明することが目的である。また、細かな点ではブースターのハードウェアを改良し、推進システムに冗長性を加えたほか、主要構造の強化、キャッチ成功後にブースターから推進剤を排出するまでの時間の短縮といった改良を施したという。

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