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ロケットを「箸」で捕まえた日 - スペースXが見せた技術力と火星移住への道筋

マイナビニュース / 2024年11月13日 14時39分

そして、長さ70m、直径9mの巨大な銀色のロケットは、発射塔に寄り添うように近づいていき、そこから生えた2本の腕の間にするりと入り込んだ。そしてその腕は、ブースターを優しく抱きしめた。あまりにもすんなりと鮮やかに、まるでCGのアニメのように、初挑戦ながら空中キャッチに成功した。

捕獲された直後、ブースターからは、おそらくメタン漏れが原因と思われる小さな火災が発生したものの、すぐに消し止められた。また、機体にいくつかの損傷もみられた。

それでも、スペースXは、機体を発射台の上に置き、そしてタンクに液体窒素を充填する作業を行った。もちろんこれは、将来的に、着陸後にまたすぐに推進薬を補給して打ち上げるための予行練習として行われたものだった。

●早くも6回目の飛行試験を実施へ、さらなる改良と次世代機
スターシップ宇宙船も再突入にほぼ成功

一方、スーパー・ヘヴィと分離したスターシップ宇宙船も、順調に飛行を続け、計画どおり離昇から約8分後に、6基あるエンジンを停止した。

これにより宇宙船は、地球のまわりを回る軌道に乗るか乗らないかというぎりぎりのサブオービタル飛行に入った。少し専門的に言うと、遠地点は約212kmである一方、近地点は地球の地面の中に入り込んでいるという軌道だった。そのため、地球を完全に一周することはなく、自然にインド洋上で再突入するようになっていた。

本来、エンジンをもう少し長く燃焼していれば、完全に地球を回る軌道に入ることはできる。ただ、その場合、地球に帰還する際にはエンジンを再着火して逆噴射する必要があり、もしトラブルなどで再着火できないと巨大な宇宙ごみになってしまう。そのため、あえてこのような飛行経路を取ることで、何もしなくても地球に帰還できるようにしたのである。

また、前述のように宇宙船も発射台に帰還するようになっているものの、今回はあくまで試験のため、インド洋上に着水することになっていた。

宇宙船は慣性飛行中、正常な姿勢を保ち続けた。やがて高度を徐々に下げ、離昇から約46分後、高度100kmを割り、大気圏への再突入を開始した。

前回の4回目の飛行試験では、再突入中に宇宙船のタイルが何枚も剥がれ、フラップ(小さな翼)の付け根部分は穴が開くほど大きく損傷した。そこでスペースXは、今回の機体に、フラップの付け根部分の耐熱システムを強化したり、耐熱タイルの下にアブレーション(融除材)を追加したりといった改良を加えた。

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