1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

NVIDIA AI Summit Japanパネルディスカッションレポート 第3回 10年がかりのAI人材育成に日本企業はどう挑むべきか

マイナビニュース / 2024年11月20日 7時0分

丹波氏:人材を育成するという観点では、個々の技術よりも、むしろ1人の研究者をどれだけ長くサポートできるのかが重要だと思います。現在はたまたまLLMが人気なので自然言語処理に長けた研究者やエンジニアの不足が話題になりますが、今第一線で活躍している人たちは最近になって自然言語処理を始めたのではなく、何年も前から取り組んでいます。10年前に「将来AIのエンジニアで活躍しよう」とか「生成AIの時代が来て大企業に入れる」などと考えていたわけではありません。

10年前から大学で自然言語処理を学んでいる人がたまたまAI関連の仕事に就けたらラッキーですけど、多くの人は就職して研究テーマをくら替えされたり、関係ない仕事に就いていたりします。そういった状況で、後になって「専門人材がいない」と騒いでも急に出てくるはずがありません。

企業の立場では、「即戦力」といった簡単な言葉で研究者を採用するのではなく、若手の研究者たちが自身の研究を続けながら将来活躍できるような組織作りやプロダクト開発を進めるくらいの考えを持たないといけません。それを一社だけでやるのは難しいので、大学機関との連携も必要になるでしょう。

採用はあくまで企業と研究者の接点の一つでしかありません。企業は5年規模など長期のインターンシップを受け入れるような大きな受け皿を構えて、大学で研究しながら企業にも貢献できるといった習慣を形作らないと、今後もエンジニアは育ちません。これはAIに限った話ではなく、量子や他の技術も同じだと思います。

馬場氏:まさに、企業の方には長い目で学生を見ていただきたいです。企業の現場で実際に必要とされるスキルを大学で教えるのは難しいので、インターンシップという制度は教育としても非常に優れています。ただ、現状では大学生が参加するインターンシップの多くが数日間のプログラムで、お客様扱いされて体験だけで終わってしまいます。

これは企業にとっても学生にとっても良くないです。企業の方にはそういった点を改善していただき、学生にもチャレンジングな課題を提示するようなインターンシップになれば、教育という観点でも非常に良くなると思います。

青木氏:私はアメリカで博士を取りましたが、まさしくアメリカで長期のインターンシップに参加していました。日本の新卒一括採用のように急に企業に入るのではなく、インターンシップのような関わりを持ちながら軟着陸するように就職する仕組みがとても良いと思います。このため、弊社のインターンシップも最短2週間から中長期で実施しています。AI人材が足りてないということは、裏を返せばまだ空きがあるという意味でもあります。20代が活躍しやすい環境ではないでしょうか。
登壇者から日本の生成AI開発に向けたメッセージ

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください