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NVIDIA AI Summit Japanパネルディスカッションレポート 第3回 10年がかりのAI人材育成に日本企業はどう挑むべきか

マイナビニュース / 2024年11月20日 7時0分

井崎氏:そろそろまとめに入りたいと思います。本日のトークテーマは「ソブリンAI」でした。これからソブリンAIによって付加価値の創造や事業改革を進めたいという方に、メッセージはありますか。

馬場氏:生成AIのような先進的な技術について新しい使い方を考えられるのは、自身が何かに没頭して専門性を突き詰めてきた人だと思います。博士課程の人材もその一例だと思います。そういった専門性のある人材が活躍する環境をどう構築するのか、企業の皆様にぜひ考えていただきたいです。それが日本ならではのAI開発と活用につながると思います。

渡辺氏:ソブリンAIについて国家として考えると、「自国で基盤モデルから作れるようになりましょう」の一言に尽きますが、これに加えて、企業が自社の競争力を高めるために自分たちのAIを作りましょうとお伝えしたいです。

先日、漫画に関する興味深いエピソードを聞きました。漫画家はアシスタントが描いた背景の上にキャラクターの絵を描くそうです。その背景を生成AIで作ろうと思うと、完成した漫画から学習したAIではうまくいきません。背景だけの状態のデータで学習することで、背景の生成に特化したAIを構築できます。AIを何に使いたいのか、そのドメインの知識や経験も組み合わせて初めて有効にAIを活用できます。皆さんにはぜひ自分の仕事のミッションに照らし合わせてAI活用を考えてほしいです。

丹波氏:ソフトバンクグループとSB intuitionsは大きく違う人事ルールで動いています。SB intuitionsが立ち上がった当初の話ですが、「社内で一番長くこの業務に関わっている人は?」と聞く機会がありました。その答えがなんと「アルバイト」の人だったのです。その人はもともとインターンシップで当社に入り、それから途切れ途切れになりながらも、長期的に当社に関わってくれています。SB intuitionsはそういう会社です。もう一つ、SB intuitionsはNVIDIAの計算資源をふんだんに使えることもアピールポイントです(笑)。

当社が将来的に実現したいのは、AIを作るAIや、AIが車やロボットを制御する技術です。そのためには自分たちが適切に管理できるデータで作ったAIが必要ですし、自分たちが管理できる制御先である必要があります。そのためにもソブリンAIが重要なのです。

私には9歳の息子がいますが、彼から日常的に触れる情報によって価値観の尺度が作られていくのを感じます。例えば今後、検索エンジンに代わって生成AIが情報を提供してくれるようになるとすれば、その出力には一定の判断基準が必要で、その基準を管理できなければいけません。その源泉は学習データセットです。だからこそ、日本の中で使うAIは日本でデータを管理しなければいけません。このことを一人一人が意識してほしいです。

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