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福島から宇宙へ、気球からの打ち上げに挑むAstroXの「FOX」発射実験を見た!

マイナビニュース / 2024年11月16日 6時0分

AstroXの小田翔武CEOは、IT業界から宇宙業界へ転身し、2022年に同社を創業した。「国内の小型衛星は、ほとんどが海外で打ち上げられている。このまま行くと、ITと同じでインフラを取られてしまう」と危機感を示し、「まずは日本の衛星を日本から打ち上げられるようにしたい」と意気込む。

ハイブリッドロケットを実用化

AstroXのもうひとつ大きな特徴は、ハイブリッドロケットを使うことだ。推力を生み出すためには燃焼ガスを勢いよく吹き出す必要があり、ロケットはその燃焼のために燃料と酸化剤を搭載する。燃料と酸化剤がどちらも液体であるものが液体ロケット、固体であるものが固体ロケットで、固体と液体の両方を使うのがハイブリッドロケットになる。

液体ロケットは仕組みが複雑だが、高性能にできるので大型ロケットに適している。一方、固体ロケットは筒の中に火薬が詰まっているだけのシンプルな構造で小型化しやすい。これまで軌道投入で実用化されたロケットはすべて、この液体ロケットか固体ロケットのどちらかだった。

ハイブリッドロケットでは通常、固体の燃料と液体の酸化剤の組み合わせが使われ、燃料に開けた穴の中に酸化剤を流し込んで燃焼させる。その性能は、液体と固体のまさに中間になる。しかし、アイデアとしては古くからあったものの、軌道投入で実用化に至らなかったのは、「燃焼速度が遅い」という大きな欠点があったからだ。

ハイブリッドロケットの燃料となる樹脂は、それほど燃えやすい物質ではない。この燃えにくいものをどうすれば速く燃やせるのか、というのが実用化のキモであるが、AstroXと千葉工業大学はこの研究開発において、(1)酸化剤の流し方の最適化、(2)燃料の形状の最適化、(3)新燃料の開発、という3つに取り組んだ。

まず(3)では、新たに低融点熱可塑性(LT)樹脂の新燃料を開発した。LT樹脂は融点が低く、溶かしてから冷やせばまた硬化するため、燃料の成型や再成型が容易という特徴がある。この新燃料は、燃焼速度が従来の3〜4倍もあるほか、接着性や柔軟性にも優れており、大型化・大推力化がしやすい。

これまでは燃焼速度の遅さをカバーするため、固体燃料に複数の穴を通し(マルチポート)、燃焼面積を増やす方法が使われてきたが、その方式だと燃料を無駄なく使い切ることが難しいという問題があった。燃焼が進んで穴が拡大していくと、穴同士がついにはくっつき、燃料がゴソッと脱落することがあるのだ。

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