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大河原克行のNewsInsight 第341回 狙いは? エプソン異例の大型買収、デジタル印刷の米企業を手に入れた真意

マイナビニュース / 2024年11月28日 20時46分

デジタル化を検討する顧客に対して、Fieryのワークフローを組み合わせたソリューション提案が可能になるほか、すでにFieryを導入済みの印刷業などの顧客に対しても、エプソンプリンターの導入ハードルを下がることができ、クロスセルの機会を拡大して、多くの顧客に対して価値が届けられるとした。エプソンプリンターの顧客に対しても、Fieryのソリューション提案を推進していくことになる。

3つめが、Fieryがソフトウェア開発で蓄積した知見や、優れた人材ポートフォリオを活用し、プリンティングの新たな価値を創出できるという点だ。Fieryのソフトウェアサービスやプラットフォームを活用した新たな価値の提案のほか、Fieryが持つ最先端のソフトウェア開発能力や、ソフトウェア製品の開発体制の知見や能力を活用することで、エプソン全体の開発基盤を強化できるという。

「Fieryの事業の大半がカットシートのビジネスであり、この領域は電子写真方式となる。今後は、産業印刷領域では、インクジェットのよるデジタル化を推進していく予定であり、ここにFieryのデジタル技術を活用する。リターンの10%程度をシナジー効果によって生み出したい」と述べた。

現在、セイコーエプソン社内にPMI専任チームを設置し、統合計画を推進。小川社長自らも、Fieryの米国本社を訪れ、現地の経営層や従業員とエンゲージメントするためのタウンホールミーティングを実施したという。

エプソン最大の買収の成果が生まれるのは2025年度以降になるが、デジタル化の流れが進む商業・産業印刷分野において、エプソンの付加価値が高まるのは事実だ。プリントヘッドの大幅な増産を進めるエプソンにとって、商業・産業印刷分野でのシェア拡大は重要な戦略となる。そのためにも、今回のFieryの完全子会社化は大きな意味を持つことになる。
一方で2024年度の業績は下方修正、為替の急変動が影響

一方、セイコーエプソンが発表した2024年度上期(2024年4月~9月)の連結業績は、売上収益が前年同期比5.6%増の6741億円、事業利益が108.9%増の510億円、営業利益が25.1%増の349億円、当期利益が15.3%減の232億円となった。

また、第2四半期(2024年7月~9月)の連結業績は、売上収益が前年同期比4.3%増の3375億円、事業利益が211.9%増の275億円、営業利益が51.7%増の124億円、当期利益が43.5%減の41億円となった。

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