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『全領域異常解決室』“神”ドラマを成立させた構成の妙 納得をもたせる脚本と映像センスで応えた演出陣

マイナビニュース / 2024年12月19日 6時0分

画像提供:マイナビニュース

●ファンタジー、SF、社会派、そして愛の物語
2024年に放送されたドラマの中で特に異色だったのが、18日に最終回を迎えた『全領域異常解決室』(フジテレビ系、FODで配信中)だ。当初は、科学捜査では解決できない“不可解な異常事件”を、世界最古の捜査機関と呼ばれる“全決(ぜんけつ)”メンバーが解決へ導いていくというミステリードラマと紹介されていたが、それはただの“体裁”にすぎなかった。

実は神々が登場するファンタジーであり、呪術使いの戦闘を描いたSFであり、虚実入り乱れるSNS社会に警鐘を鳴らす社会派であり、太古の歴史からさかのぼる壮大な愛の物語であり、登場人物たちの心の機微を描いた人間(神)ドラマでもある……そんな誰も見たことのない作品に仕上がっていた。

○とんでもない動きを見せた第5話

まず本作が“誰も見たことのないドラマ”…ある意味で、視聴者層を極端に限定させてしまう作風でありながら、多くの視聴者を巧みに誘導できたのは、ドラマ全体の“構成の妙”にある。序盤は一風変わった単なる刑事ものかと思わせながら、そこからとてつもなく壮大な“ゾーン”へ突入していったのだ。

例えば第1話の導入部は、「全領域異常解決室(全決:ぜんけつ)」という“不可解な異常事件”の捜査を専門に担う機関へ、何も知らない女性警察官が出向を命じられ、そこで超常現象のスペシャリストである室長代理とバディを組むというものだった。これはよくある、キャラの立った主人公に視聴者目線の何も知らない相棒をセットにするという“ありきたり”だ。

また初回の事件も「神隠し」と呼ばれた、大量の血液と衣服が残り、人間の身体だけが消えてしまう“不可解”なものだったのだが、実はそこにトリックが隠されていた…というオチだった。これも同局の名作『ガリレオ』のような、どんな不可解な事件にも仕掛けがあるという作風で、新味という点では感じられなかった。

だが初回で解決されなかった他の神隠し事件と、その犯行声明文を出した“ヒルコ”の存在、また時折“歪んで見える”という“含み”の数々を残すことで、今作が“ありきたり”なドラマではないという予感を残した。

そして第3話のエピソードでは、空から突如物体が落ちてくるという“異常現象”が、“タイムホール(時空を操る装置)”の存在を示唆し、トリックよりも不可解が上回ってしまうという展開を見せた。そこで今作は、トリックと不可解の“逆転”を見せる、それを新味とするドラマになっていくのかと思わせた。

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