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“オールドメディア”が信頼を取り戻すために――名張毒ぶどう酒事件に取り組み続けてきた阿武野Pが語る「背骨」の必要性

マイナビニュース / 2025年1月2日 7時0分

「こういう形で作り続けていたことで、私のテレビマン人生も空虚なものにならなかった。名張毒ぶどう酒事件に関われたのは、幸せなことだったと思います」と感慨を述べた。

昨今、テレビを含むマスメディアが「オールドメディア」とくくられ、兵庫県知事選の結果などを受けて「オールドメディアがSNSに負けた」と語られる風潮がある。そんな状況を打破するためにも、“背骨”と意識できるような仕事に取り組むことが必要だと訴える。

「テレビ・新聞は、記者の足腰をもっともっと鍛えて、瞬発力と持続力の両方を持ち合わせるようにならないといけません。それには、教育システムを整え直すべきです。最近では“夜討ち朝駆け”にタクシーを使うなとか、なるべく出張するなという風潮があるようですが、取材以上に何か大事なものがありますか。波風をたててこその報道ですし、信頼できるメディアになるためには、手間暇かけて記者教育をやり直すしかないと思います」

●流れは「疑わしきは罰せず」の方向へ
東海テレビのチームと同じように、組織として引き継ぎながら戦いを続けている弁護団。昨年2月に放送したドキュメンタリーの感想を聞くと、弁護団の一人から「切なかった」という言葉が返ってきたという。

阿武野氏は「もう一度ファイトしてもらいたいと思って、応援する意味も込めて作ったんですよ」と伝えたそうだが、「やはり長年にわたって道を閉ざされ続けると、“またこれも徒労に終わらせられた”という気持ちになってもおかしくないですよね。(1月29日に第10次再審請求の特別抗告が棄却されたばかりで)ちょっと感傷的なタイミングだったのかもしれないです」と理解する。

だが、昨年9月に袴田巌さんの再審無罪が決定し、10月には1986年に福井県で起きた中学生殺害事件で服役した前川彰司さんの再審が決まった。12月には紀州のドン・ファン死亡事件で元妻に無罪判決が出され、実は名張毒ぶどう酒事件でも第10次再審請求で初めて、裁判官の1人が再審を開始すべきとする意見を述べている。

この流れに、「“疑わしきは罰せず”という裁判の原則の方向へ振り始めている感じがします」と、希望を抱く阿武野氏。今回の映画には、「裁判官は憲法以外に拘束されるものはないはずなんです。若かろうがベテランだろうが、裁判官は一人ひとりが独立していて、やる気さえあれば、組織のしがらみからも自由、先輩たちの判決も間違いは間違いと言えることを再確認したいんです」と思いを込めている。

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