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進化が加速した生成AI、競争過熱で"AI版ムーアの法則"に限界説も、2025年はどうなる?

マイナビニュース / 2024年12月31日 13時46分

しかし、両社とも克服すべき課題を抱えている。OpenAIには強力なコンシューマ向けプロダクトがなく、AppleはAIの未来をユーザーに納得させるような冒険的なAIモデルを提供できずにいる。そのため現状では、AIの将来について異なるビジョンを持ちながらも、両社は互いの不足を補完し合う協力関係を築いている。

○2025年に注目したい動き

2024年が研究チームの年だったとしたら、2025年は製品チームの年になりそうだ。2024年版のAI PCとAIスマートフォンによってハードウェア環境が整備され、チャットボット、コンテンツ生成ツール、翻訳ツール、画像生成ツールなど、様々な分野で生成AIを活用した製品・サービスが市場に登場すると予想される。企業においても、業務効率化、顧客サービス向上、新製品開発などを目的とした生成AI導入の機運が高まっており、技術の社会実装が加速度的に進むことが見込まれる。OpenAI、Anthropic、その他の最先端研究組織も「スタックの上方への移動」を開始し、戦略的重点をアプリケーションの構築へとますますシフトさせていくだろう。

LLMに続いて、スケーリングのブレークスルーを起こせる分野が出てくるかも注目だ。ChatGPTは、最先端の研究室から生まれたアプリケーションの大成功例であり、これまでのスケーリング則に関する議論は、2020年のOpenAIの論文から今日の限界説に至るまで、主に言語を中心に展開されてきた。

しかし、言語は重要なデータモダリティの一つに過ぎない。現在、生成AIは言語以外の領域への展開が目覚ましく、特にロボット工学、生物学、世界モデル、Webエージェントといった注目分野におけるデータモダリティでは、スケーリング則はまだ十分に確立されていない状況にある。EvolutionaryScale(生物学)、Physical Intelligence(ロボット工学)、World Labs(世界モデル)といった新しいデータモダリティの基盤モデルを構築するスタートアップ企業は、2020年代前半にOpenAIがLLMのスケーリングで成功したような成長曲線を描く可能性を秘めている。

Sakana AIの「AIサイエンティスト」に代表される、研究開発プロセスの自動化にも注目したい。再帰的な自己改善AIという概念は、数十年来AIの分野で議論されてきたが、いよいよ現実味を帯びてきた。過去にAIがプロ棋士に勝利したり、AI生成アートがコンクールで優勝して話題を呼んだように、AIが完全に執筆した研究論文がトップクラスの学会に採択されるような出来事が起これば、この分野に対するSF的なイメージは一掃されることになるだろう。そうなれば、科学研究のあり方そのものに革命的な変革がもたらされる可能性も十分に考えられる。

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