進化が加速した生成AI、競争過熱で"AI版ムーアの法則"に限界説も、2025年はどうなる?
マイナビニュース / 2024年12月31日 13時46分
○インテリジェンスはやがてソフトウェアになっていく
私たちは今、AIの可能性を巡る大きな岐路に立っている。「AIで何ができるのか」という問いは、技術者から一般のビジネスパーソンまで、多くの人々の頭を悩ませている。コーディングやライティングの補助としての有用性は証明されているものの、その他の分野ではハルシネーションの危険性が常につきまとう。しかし、だからといって生成AIの活用が一部のビジネスに限定されて終わるわけではない。
むしろ、AIの将来的なスケーリングが予測困難であるように、その活用領域や、どの職種が影響を受けるかを現時点で正確に見通すことはできないのである。
2000年代のWEBブームの際にAjaxが登場した際、その技術がSNSやビデオ配信、ゲームなど多様な分野に活用される未来を誰も予想しなかった。しかし、Googleマップで注目を集めたAjaxの非同期通信は、フィードの更新や快適な操作性を持つビデオオンデマンドサービスの実現に貢献し、結果としてDVDを市場から駆逐し、従来のテレビからソーシャルメディアへのメディアシフトを加速させたのである。
2012年、機械学習による犬や猫の画像識別が実現した際も同様である。その技術的な驚きはあったものの、具体的な応用可能性を描くことは困難だった。画像認識は長らく写真の自動分類にとどまっていたが、やがてその本質的価値が「パターン認識」にあることが理解され、クレジットカードの不正利用防止や疾病の早期診断など、様々な業界の未解決課題に活用されるようになっていった。
現在のLLMも、WEBブーム初期のAjaxや2012年の画像認識と同様、「種」となる技術に過ぎない。その成長の先に、私たちの想像をはるかに超える「花」が咲く可能性を秘めているのである。
このようなインテリジェンスによる驚きは、実は今に始まったことではない。1970年代にリレーショナルデータベースが登場した際、それは高度な分析や効率的なデータ管理を実現する「画期的なインテリジェンス」だった。しかし時を経て、それは当たり前のソフトウェアへと進化していった。画像認識も10年前は機械学習機能として騒がれたが、今では画像処理ソフトの標準的な機能の一つとなっている。
同様に、現在AIと呼ばれているLLMも、私たちが直面する様々な課題を解決するための創意工夫に活用され、やがては普通のソフトウェアとして受け入れられていくだろう。2025年は、そのような長期的な進化の第一歩を記す年となるはずである。
(Yoichi Yamashita)
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