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大河原克行のNewsInsight 第345回 パナソニックの業務用冷蔵庫と空質空調事業、片山社長が進める改革の現在

マイナビニュース / 2024年12月31日 23時5分

一方、2025年度からの次期中期計画については、業界ポジションを意識した事業戦略と、位置づけの明確化を進め、A2W事業および空質機器事業については、キラーコンテンツの作り込みによる「再別化戦略」、ルームエアコンとコマーシャルエアコンでは、開製販のグローバル化を推進する「グローバル戦略」、エンジニアリングおよびデバイスは、成長市場を取り込む「顧客戦略」に取り組む考えを示した。

A2W事業では、2030年度の欧州市場全体の需要見通しを、当初の半分となる300万台と想定。「それでも、年平均成長率は13%増という高い伸びとなる。強みとなる技術を生かしたT-CAP(高暖房モデル)や業務用ビッグA2Wによる商品力に加えて、自然冷媒の採用、他社との協業を柱にして、シェアを引き上げ、早期に2桁の利益率を確保する」と述べた。

A2W事業では、北米市場において、新たにヒートポンプ式温水給湯暖房機事業に参入することを発表。北米最大の給湯機メーカーであるAOスミスとの協業により、2025年から、製品を順次投入していくことになる。「この協業は、販売ルートを持たない北米で、パナソニックの技術を生かしながら成長を描く戦略になる」と語った。

空質機器(IAQ)事業は、「差別化戦略の中核事業になる」と位置づけ、日本、中国、米州でのトップシェアを獲得しながら、市場全体を上回る成長を狙う。「地域ごとにライバル企業が異なる事業でもある。換気ニーズを把握し、差別化技術をレバレッジすることで、高収益と高成長を両立する」と述べた。

開発を進めてきた空質空調融合システムがいよいよ市場に投入できるほか、ナノイーによる空間全体浄化技術や、ソルトフリー軟水化技術を活用した製品によって差別化を推進し、販売ルートの強みを組み合わせて、高収益化を目指す考えを示した。

ルームエアコン事業とコマーシャルエアコン事業では、開製販により世界をつなぎ、基盤事業に相応しい収益貢献度を目指す姿勢を強調。地域別戦略を推進し、技術優位性にこだわったローカルフィット製品の投入により、高い成長率を確保する考えを示した。ルームエアコンは、グローバルの基幹事業に位置づけている。

「この事業は、収益性の低さと、事業規模が小さいことが指摘されているが、高い収益をあげている地域と、まったく低い地域に大きく2分できる。高収益の地域や領域に絞れば、利益を出せる枠組みがあると考えている。規模で劣っていても同等の収益性を出せる領域を徹底的に選び、経営資源を集中的に投下する。これ以外に戦える道はない。地域と顧客属性の絞り込みにより、開発効率を高め、マザー工場の稼働率を引き上げ、高収益地域の利益率を全体に波及させていく」と語った。

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