大河原克行のNewsInsight 第345回 パナソニックの業務用冷蔵庫と空質空調事業、片山社長が進める改革の現在
マイナビニュース / 2024年12月31日 23時5分
片山社長は、「2022年4月に、コールドチェーンソリューションズ社が発足した際には、設備やITへの投資不足、度重なる組織や戦略の変更、ハスマン買収によるシナジーの創出不足という課題があったが、これらの課題は改善しつつある。設備やITの近代化が進み、新製品の一貫した販売施策により、シェアが向上している。ハスマンと国内事業との連携により、CO2冷凍機の技術移管や、デジタル分野でのシナジーが出せている」と述べた。
コールドチェーンソリューションズ社が展開している市場は、CR(Commercial Refrigeration)分野と呼ばれ、日本の厨房機器メーカーよりも、米国および欧州企業が競合の対象になる。「競合他社に比べても、収益性や成長性において、この3年間で、一歩抜きんでた」と自己評価した。
ショーケース事業については、各地域で既存重点顧客や成長有望顧客にターゲットを絞り込み、米国では3.3ポイント、日本では2.0ポイントのシェアアップを実現。さらなる事業成長に向けた仕込みとして、メキシコ工場の拡張による生産能力の向上および生産性改善に加えて、2024年9月からは、新型スーパーショーケースの販売を開始。販促用トレーラーを導入して、新型ショーケースの移動展示会を積極的に実施している。
冷凍機・サービス事業については、冷凍機が日本および欧州での旺盛な自然冷媒需要を取り込み、小型ノンフロン(CO2)冷凍機が伸長。米州ではプロパンに加えて、ノンフロン(CO2)冷凍機事業の拡大に新たに着手した。また、サービス事業では、米州および日本を中心に、高い市場稼働台数を活かしサービス事業の規模拡大を進め、収益性の改善につなげているという。社内トレーニングセンターの設置や、IoTメンテサービスの機能強化、産学連携の育成プログラム推進などにより、サービス人材の育成、確保にも取り組んでいるところだ。
なお、冷媒については、今後、CO2冷媒に置き換えることを改めて説明。「CO2は温室効果ガスだが、大気中に放出された際の温室効果は、フロンより圧倒的に低い。循環して使用する冷凍機においては、環境貢献度が高い冷媒である。CO2冷媒に置き換えることで、温室効果ガスを大幅に削減できる」とした。
また、厨房機器事業については、「主たる事業領域ではない」としながらも、「インバウンドの影響もあり、国内では好調な市場になっている。2025年4月から、新型業務用冷凍冷蔵庫を発売する。業界トップクラスの省エネ性能を持っており、現在、3位のポジションからの向上を狙う。小売業界に対して、ショーケースや冷凍機との一体提案を進める」と語った。
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