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変革の軌跡~NECが歩んだ125年 第8回 中興の祖、小林宏治の「C&C」宣言

マイナビニュース / 2025年1月7日 12時0分

30分間という講演時間の冒頭に小林氏は、「今日、主要先進諸国ではコミュニケーション技術とコンピュータ技術が融合を始めており、『コンピュータ通信』という新しい概念が定着しようとしている」と切り出し、「21世紀初めには、いつでも、どこでも、誰とでも、お互いに顔を見ながら話ができるようになる。そのときは、すべての技術、つまり通信、コンピュータおよびテレビジョンは、このようなニーズに対して統合される。そのためには、発展途上国がそのような世界通信システムに参加できるように、これらの国々を援助することが重要になる」と述べた。

このときには、「C&C (Computers and Communications)」として、確立された概念が明確に示されたわけではなかった。だが、小林氏の頭のなかには、通信技術とコンピュータ技術の融合によって、情報通信産業が発展するというビジョンが完成しており、そのビジョンが、C&Cという言葉に集約され、その後、情報化社会とそれを支える技術的基盤という文明論的な色彩を持つものへと熟成していくことになる。

もともと「通信とコンピュータの融合」という概念は、「インテルコム’77」の講演の約10年前から、小林氏の脳裏に浮かんでは消え、消えては浮かんでいたものだという。社長就任前から、NECのCI(コーポレートアイデンティティ)を考える立場にあり、通信機器とコンピュータの両方を手がけるNECの将来を見据えれば、自然の着想だったのかもしれない。

C&C構想は、「インテルコム’77」で発表されたことが知られているが、ここには、あまり知られていないエピソードがある。

実は、C&Cの考え方を初めて外部に公開したのは、「インテルコム’77」での基調講演の約2年前となる1975年9月に、スイス・ジュネーブで開催された世界電気通信会議の講演だったのだ。

小林氏は、「C&C」という言葉こそは使わなかったものの、「電話網の整備が一巡した先進諸国でのもうひとつの懸案は、通信とコンピュータのドッキングがもたらす効用の実現である」と提言。「このような新機軸の誕生の鍵は、マイクロエレクトロニクスにある」という見解を示したのだ。

さらに、この動きを加速するような出来事が1976年に起きた。カナダの通信機メーカーであるノーザンテレコムが、デジタル電子交換機を発表したのだ。通信の中核である電子交換機にデジタル技術が初めて採用されたことで、電気通信とコンピュータの技術的融合の第一歩が記されたともいえ、これをきっかけに、米国の交換機市場にはデジタル化の波が一気に押し寄せることになったのである。

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