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DX時代におけるサプライチェーンリスクとマネジメントのあり方は? 第1回 顕在化するサプライチェーンのリスクと対策の実態

マイナビニュース / 2025年1月14日 13時0分

画像提供:マイナビニュース

高まるサプライチェーン・リスク

「サプライチェーン」、つまり企業が調達・製造して市場にモノを供給する一連の流れが、阻害される事象が頻発している。災害や異国での政変、工場での火災や船舶の事故など、原材料が運ばれて加工され、店舗を通じてわれわれの手に商品が届くまでには、さまざまなリスクが考えられる。

とりわけ昨今は、気候危機による自然災害の多発化・激甚化や、ロシアのウクライナ侵攻や米中対立激化といった地政学的リスクの高まりなど、「危機の時代」の様相を呈している。また、近年の新型コロナウイルスの感染拡大はわれわれの経済をずたずたに引き裂いたが、またいつ似たようなパンデミックが発生してもおかしくはない。

サプライチェーン・リスクの扱いの難しさは、サプライチェーンは一社によって完結する営みではなく、原材料のサプライヤーから製造業者・物流業者、倉庫業者・港湾や空港・輸送機関・卸売業者・小売業者など数多くのプレイヤーによって成り立っており、地理的に大きな広がりを持っている点にある。本連載では3回にわたって、サイバー攻撃をはじめとするサプライチェーンのリスクの実態と、マネジメントのあるべき姿について解説したい。
どのようなリスク事象が考えられるか

サプライチェーンを混乱・途絶させる事象は実に多岐にわたる。下図はそれらの事象をおおまかに分類したものである。大分類のうち、「供給の不確実性」に属する自然災害リスクや人為災害リスク、国際リスクなどはイメージしやすい。「需要の不確実性」とは、新型コロナウイルスが爆発的に感染拡大した際のように、外的要因によって需要が急激に増減する事態である。感染症以外にも、SNSへの投稿によってレピュテーション(評判)が毀損されたり、反対に需要が喚起されたり、あるいは、全く新しい技術の登場で自社製品が一気に時代遅れになったり、反対に脚光を浴びたりするケースなどが含まれる。

具体的な事例

サプライチェーン・リスクの中で昨今特に注目を集めているのは、自然災害だろう。例えば、2018年に西日本で発生した通称「平成30年7月西日本豪雨」では、各地で記録的な量の雨が降り、多くの企業の工場で大規模な被害が発生した。

中小零細企業の中には、この影響で倒産に追い込まれたところも多くあった。この大雨は世界の生産の約6割を広島県と山口県で行っている自動車メーカーのマツダにも大きな影響を与えることとなった。工場は設備面でのダメージはなかったものの、交通網が麻痺したことで従業員が出勤できず、部品供給の物流が滞ったことも重なり、広島県広島市の本社工場と山口県防府市の防府工場がともに操業停止に追い込まれた。5日後には部分復旧したものの、全面的な操業再開までには約3カ月を要した。

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