スペースXの「スターシップV2」宇宙船、初飛行 - イーロン・マスクの新たな挑戦と未来への展望
マイナビニュース / 2025年1月20日 18時50分
●さらなる高みへ! より強力になった、新たなスターシップ宇宙船
イーロン・マスク氏率いるスペースXは2025年1月17日、巨大宇宙船「スターシップ」の7回目の飛行試験を実施した。
今回の試験では、2段目に新設計の「スターシップV2」宇宙船を初めて使用した。しかし、飛行中に機体は爆発し、打ち上げは失敗に終わった。
一方、1段目の「スーパー・ヘヴィ」ブースターはほぼ完璧に飛行し、前々回の飛行試験に続き、発射塔での回収にも成功した。
スペースXの新たな挑戦は、一進一退の結果となった。それでも同社は決して歩みを止めることなく、今後の開発と試験に期待を寄せている。スターシップV2の概要をはじめ、2025年の開発における期待と課題、そして展望を読み解く。
スターシップとは?
スターシップは、スペースXが開発中の、次世代の宇宙輸送システムである。直径は9m、全長は120m以上もあり、100t以上の物資を運ぶことができる、世界最大にして最強の宇宙船である。
同社はスターシップにより、衛星や宇宙飛行士の打ち上げに始まり、月や火星への有人飛行、さらには他の天体への移住を目指している。
機体は2段式で、第1段は「スーパー・ヘヴィ」ブースターと呼ばれ、打ち上げ時の推進力を生み出す。第2段は「スターシップ」宇宙船で、ブースターによって宇宙に到達したあと、目的の軌道まで飛行する。
スターシップの最大の特徴は、機体のほぼすべてを打ち上げ後に回収し、再使用できるところにある。これにより、打ち上げ頻度の向上と、コストの削減を狙っている。
また、スペースXは回収方法として、機体を発射台に目がけて降ろし、発射塔(タワー)に備えた2本の巨大なアームで挟むようにして捕まえるというアイディアを採用している。まるで箸のような仕組みから、「チョップスティックス(箸)」や、巨大な機械の腕であることから「メカジラ(Mechazilla)」といった名前で呼ばれている。
この方法により、着陸脚が不要になり、軽量化と打ち上げ能力向上、またメンテナンスの簡素化が期待できる。さらに、発射台で回収することですぐに次の打ち上げが可能になり、打ち上げ間隔の短縮も図ることができる。
スターシップは2023年4月から、宇宙への飛行試験を始め、これまで6回の試験を行ってきた。完璧な成功例はないものの、試験ごとに改良を加え、5回目の試験ではブースターのチョップスティックスによる回収に成功したり、6回目の試験では宇宙船が大気圏再突入を乗り切ったりと、着実に完成度を高めている。
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