トランプ大統領が掲げた「火星に宇宙飛行士を」 - 鍵を握るイーロン・マスクの野望
マイナビニュース / 2025年1月30日 19時41分
●4年以内の有人火星探査は不可能、マスク氏の真の狙いは?
4年以内の有人火星探査は不可能
しかし、今後4年以内に、宇宙飛行士が火星に降り立つことは、現実的に不可能である。課題があまりにも多く、解決には長い時間と多くの予算が必要だからだ。
まず、現時点では有人火星探査に必要な技術がそもそも揃っていない。マスク氏が開発を進めるスターシップは、まだ地球周回軌道への飛行や帰還すら成功していない。
また、火星への往復には1.5年から2.5年かかる(地球と火星の位置関係によって変わる)。そのうえ、地球からの補給や直接的な支援を受けることができない。そのため、食料、水、酸素、そして船内環境を維持するための生命維持システムが、完全に自律的に、そして壊れずに機能する必要がある。しかし、これほどの長期間、人間が宇宙空間で安全に生存できるシステムは、まだ実証されていない。
さらに、たとえ生命維持システムの信頼性が確保されたとしても、宇宙飛行士が長期間宇宙に滞在した場合の人体への影響は未知数だ。現在、国際宇宙ステーション(ISS)では最長で1年程度の滞在が行われているが、火星ミッションではそれを大きく超える。無重力環境による骨密度の低下や筋力の減少、放射線被曝の影響、精神的ストレスなど、健康リスクは計り知れない。
くわえて、もし生命維持システムが故障したり、宇宙飛行士の健康が急激に悪化したりしても、地球への緊急帰還は不可能である。地球周回軌道や月であれば、数時間から数日で帰還できるが、火星では最短でも数ヶ月、通常は1年以上の帰還時間が必要となるため、人命のリスクが極めて高い。
そして、火星は地球と異なり、厚い大気がないため、パラシュートだけでは安全に降下できず、エンジン噴射による精密な着陸が求められる。しかし、有人宇宙船ほど大きな機体を、確実に着陸させる技術はまだ研究段階である。
また、地球に帰還するためには、火星で燃料を生成して、ロケットへ補給し、打ち上げる技術が必要だが、これも現時点では実現していない。
火星に着陸せず、火星のまわりを周回する、あるいはただ通過するだけのフライバイ・ミッションであれば、技術的な難易度は下がる。しかし、それでも往復に1年から1.5年を要し、長期間の宇宙放射線や微小重力環境に晒されるため、乗組員の健康リスクは依然として高い。
これらの課題を、今後4年間で解決することは無理がある。NASAは現時点で、有人火星探査が実現する時期は2030年代以降と見積もっている。たとえ今日から、NASAの全予算をつぎ込み、マスク氏が全財産を投じたとしても、多少短くなるにせよ、4年後に火星へ向けて飛び立つことは不可能である。
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